コラム
2021/03/15
3/15 世界消費者権利の日に眺めたい8つの権利と4つの責務
今日、3月15日は世界消費者権利の日です。
1962年にケネディ大統領が、後の消費者行政の基本理念となる消費者の4つの権利を「消費者の権利・消費者の利益保護に関する特別教書」の中で発表したのがこの日でした。
その四つの権利とは以下のものです。
1 安全を求める権利
2 知らされる権利
3 選ぶ権利
4 意見を聞いてもらう権利
さて、これらの内容についてどんなことを感じますか? そもそも「こんな権利があったなんて知らなかった」という方もおられるかもしれません。
エシカル消費を例に考えてみましょう。
選ぼうとしている商品がエシカルなのかどうか、「知らされる権利」は確保されているでしょうか。エシカルな商品を「選ぶ権利」についてはどうでしょうか。また、エシカルな取り組みをもっとやってほしい、エシカルな商品をもっと取り入れてほしい、といった「意見を聞いてもらう権利」についてはどうでしょう。
考えてみると、消費者の立場、そして売る側、企業としての立場、NGOの立場、などから思い浮かぶことがあるのではないでしょうか。
消費者の権利はその後、世界消費者機構(CI)によって四つの権利が追加され、現在では以下八つの権利が世界共通の消費者権利となっており、日本の消費者基本法にも定められています。
- 健全な生活環境が確保される権利
- 安全が確保される権利
- 選択の機会が確保される権利
- 必要な情報が提供される権利
- 消費者教育の機会が提供される権利
- 消費者の意見が消費者政策に反映される権利
- 被害者が適切かつ迅速に救済される権利
消費者の立場からこれらを眺めると「まだまだ私たちの権利は確保されていない!」と不満を覚える方もおられるかもしれません。しかし、私たち消費者はこれらの権利が保障されるのを受け身で待っている存在ではありません。
世界消費者機構(CI)では消費者の責務として以下四つの責務を提唱しています。
- 批判的自覚:購入する物質やサービスの価格と品位について、批判的自覚をもつ責任。
- 行動すること:正しいと信じることを主張し、公正な取り扱いが得られるように行動する責任。
- 社会的関心:自分の消費が他の人々、特に不利な立場の人々や力のない人々に与える影響について、自覚する責任。
- 環境への自覚:自分の消費がどのような影響を環境に与えるかを理解する責任。
- 連帯:消費者の利益を増進させ、守るために、力を強め、影響力をおよぼすことのできる消費者として連帯する責任。
これら四つの責務をみていると、急に正座をしたくなる気分になるのは私だけでしょうか。
決して消費者の権利だけを振りかざすだけではなく、問題の解決に向けて、自ら主体者となってかかわっていくことの大切さが浮かび上がってきますね。
エシカル消費についてこれらの権利、責務について考えると、個人として、組織としてすべきこと、企業にとっては事業の可能性も見えてくるのではないでしょうか。また、これらの課題は決して一人、一組織だけでなし得るものではなく、パートナーシップによってコレクティブインパクトを重視していくことの大切さも感じます。
世界消費者権利の日の今日、改めて八つの権利、四つの責務をセットで眺め、これからのアクションについて考えていきたいものですね。
2021/03/01
テレビ局へのプレスリリースにもんもん......
「特に担当者の名前をご存知でない場合はおつなぎできません」
最近、テレビ局にプレスリリースをした時のこと。ある番組の報道担当につないでもらおうと思い、代表番号に電話をしたのですが、窓口の方にこうあしらわれてしまいました。
個別の担当者の名前まで求めるなんて。電話口でしばらく考え込みました。
昔(10年前くらい...)は、特定の担当者の名前まで知らなくても、とりあえず部署の方にはつないでいただいたように記憶しています。それが、昨今のテレビ局は「どの番組の誰あてなのか」がわからないとつないでくれないところが増えているようです。
テレビ局からすると、毎日、山のようなプレスリリースが届いてやってられない! 必要な情報はこちらから取りに行きます、ということなのかもしれませんが果たしてこれでいいのでしょうか。
特にNGOなどマンパワーの限られた小さな組織にとって、メディアの特定の誰かとつながるのは時間も労力のかかるもので、個別の担当者などそうそう知り合えるものではありません。社会をよりよくしていこう、そのためになんとかメディアにリーチしたい、と思っても「担当者を知らなければつなげません」と言われてしまえば、情報を届けることすらできません。
こうなると、資金力もあり、マンパワーもある組織だけが大手メディアにリーチしやすくなる、つまり、ますますお金と権力を持った組織が声を強められるようになってしまう。そう思ってしまうのは考え過ぎでしょうか。
確かにプレスリリースの内容や質は玉石混交でしょう。内容がわかりづらいもの、商品の単なる宣伝的なもの、何かに対して苦情を言っているだけのもの......そんなものもあるかもしれません。それでも、テレビメディアは公器であるはずです。
もう一度、小さな声を拾う手間ひまをかけてくれないかな。
ぷーぷーぷー。もんもんとした思いが込み上げて、あっさりと切られた電話の受話器をすぐに置くことができませんでした。
追伸:さすがにNHKさんは丁寧に対応してくれます。