コラム
2022/07/23
お祭りに見る 元祖リユース
夏祭りの季節になりました。皆さんの地域でもさまざまな夏祭りが行われているのではないでしょうか。 京都の夏のお祭りといえば祇園祭。千年以上の歴史を誇る日本三大祭の一つで、疫病退散を祈願するお祭りでもあります。
今年は特に三年ぶりの巡行とあってまちの人の熱気も例年に増して熱く感じられました。祇園祭は歴史があるだけに何度みても、毎回新たな発見や感動があり、興味は尽きません。今回関心を持ったのは「縄がらみ」と呼ばれる、釘を使わず、部材を縄で固定して組み立てる工法。理由としては、釘で留めてしまうと、車輪などの動きに幅がなくなり、動かしにくく、木材が割れてしまったりするため、と言われています。縄の結び方マニュアル、なんていうものはなく、伝承で受け継がれてきた、というのも驚きです。結び目も、それぞれの山や鉾で「海老結び」「鶴・亀結び」などのこだわりがあるそうです。見た目の意匠性にも見入ってしまいますね。
飾り付けがされると中は見えにくいのですが、縄でしっかりと固定されています。大きなものは10トンを超えるとか。そう考えると縄の固定だけというのは驚きです。
お祭りが終わると結び目を解いて、木材を分解。木材は保管され、また次の年に使われます。そう考えると元祖リユースともいえそうです。特に、祇園祭の場合、釘を使わず、縄で固定しているだけなので、コンパクトに片付けることができ、長く使えるのではないないか、と推察しました。
祇園祭に限らず、地域の伝統的なお祭りには何かしらモノを大切に使ったり、自然とのつながりを大切にするような、つまり、サステナビリティを大切にするヒントが多くあるように思います。温故知新。お祭りを楽しみつつ、古の人々の知恵に学ぶ機会にしていきたいものですね。