コラム

2022/09/15

読まれるタイトルの付け方のコツ3

読まれるタイトルの付け方のコツ3

 「より多くの人に見てほしい、読んでほしい」。広報をする人なら誰もが思うことだと思います。

そのためのポイントはいろいろありますが、今回は特に、サステナビリティ関連の広報あるあるを例にあげながら、メールマガジンやプレスリリース、SNS投稿のタイトルをつける際に大切なポイントについてご紹介します。 

ポイントは3つ。

 

 1.   簡潔に

 2. 具体的に

 3. 正直に

 

 

1. 簡潔に。

これが難しい。特にサステナビリティに関する話題は、一言で簡単に言い切れないことが多いですよね。マルチステークホルダーでやっていると、あの組織の名前もこの組織の名前も前に出さなくては、となったり押さえるべきポイント、背景にあるストーリーがたくさんあって、あれもこれも伝えたくなってしまったり。その結果、タイトルがどんどん長くなっていった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。たとえばこちら。

 令和4年度地域再エネ事業の持続性向上のための地域中核人材育成事業 基礎講座の開催について

 

長いですね......。環境省さんの実例を勝手ながら拝借しました。お役所関係のタイトルは特に長いことが多いですね。いや、でもみなさんの組織のイベントタイトル、ウェブページのタイトルも見直してみてください。私も舌を噛みそうになるぐらい長くなったタイトル、たくさんあります。プロジェクトのリーダーと「タイトルが長い!」「そうは言っても短くできない!」と議論した経験も多々あります。

でもやっぱり思い切って短くしましょう。例えばメールマガジンの場合、読者は読むか読まないかはタイトルで判断されます。長いタイトルは分かりづらく、開封すらされません。その間数秒。短い!と思われるかもしれませんが日々、メールボックスを開けた際のことを思い浮かべてみてください。確かに、と思う数字です。

短さと合わせて重要なのが、ユーザーが気になるキーワードが文字頭15から20文字以内に入っていることです。前述の例だと「令和4年度地域再エネ事業の持続」までが15文字。お世辞にも読みたくなるとは言えません。慣れないうちはその都度、数えたり、自分にメールを送ってタイトルがどう見えるか、試してみるのがおすすめです。

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2. 具体的に
簡潔性と合わせて大切なのが具体性です。たとえば、こんなタイトル見たことありませんか。

 日本の森を守っていくために
 人権デューディリジェンスをすすめます
 食品ロスの削減方法提案します

本文はしっかりと書かれているのにタイトルはあっさり。これも結構、サステナビリティ関連の広報あるあるです。サステナビリティ系だと特に、具体的な商品やサービス、活動ではなく、意義や価値を前面に出したいという方もおられるかもしれません。しかし、ウェブやメルマガ、SNSは「読まれない媒体」と言われるほどユーザーはせっかちです。漠然としたタイトルでスルーされてしまうと、せっかく本文に意義を書いていても読まれないことになってしまいます。意義や価値、目的があってこそ商品や取り組みがあるという感覚はとてもよくわかるのですが、その意義や価値を伝えるためにもここは一つ、テクニックを優先してみてはどうでしょうか。

具体性を出す際には、数や日時、ブランド名や事業名、商品名など読者が気になるキーワードを入れこみましょう。たとえばこんなかんじに。

 累計10000人が参加した日本の森づくりイベント 今年も10月19日にXXで開催  
 ビシネスと人権 実装に向けたコンサルティングサービス開始
 100の食品ロス削減方法! 新アプリ「XXX」リリース

具体的に、といっても「里山保全会 会報誌 vol.28」「XX会社5月号事業報告」のような定型化されたタイトルではワクワク感がありません。よほどみなさんの組織が好きな方ならともかく、中身がわからない場合は開封しない場合が大半です。ぜひ伝えようとしているコンテンツを読んで、読者ならどこが気になりそうか、ワクワクしそうか、そこをタイトルに入れてみてください。

ちなみに、「累計10000人...」のタイトルは長めですが、後半に具体的かつ、スマホなどで見た場合に切れてしまってもいいけれども、見えると役立つ内容を配置しています。

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3.  正直に

あたかも、環境に配慮しているかのように見せかける表示をグリーンウォッシュと言います。最近ではSDGsウォッシュという言葉まで登場しています。簡潔に、具体的に、それでいて読者のウケを考えて、といっても事実にもとづかない、誤解を生じる表現はいただけません。

「省エネNo.1」「日本初」「エコなXX」...言えたらすっきりするのにと思ってしまうキラーワードはたくさんありますが、何を持ってNo.1とするのか、その根拠はあるのか、本当に日本初なのか(過去にないかよく調査を)、何をもってエコとるすのか(素材が再生素材だから? LCAでみると?)など言うからにはしっかりとした根拠が必要です。

サステナビリティに関する話題は特に、これで「XXが変わる!」「XXゼロ!」などと言い切りたくなるかもしれませんが、問題は複雑なだけに簡単に変えられることはそう多くありません。


タイトル付けで気持ちがたかぶっている時はティータイムを。ほっと一息落ち着いてから「正直な」タイトルをつけましょう。

 

以上、タイトルをつける際に最低限押さえたいポイントをご紹介いたしました。ちょっとした工夫で、SNSやプレスリリースの投稿のリーチは結構かわるものです。かく言う私も毎日悩みながらタイトルをつけています。でもこの「悩みながら」というところが大切で、これが少しずつ、よりよい社会をつくる力になるのだと思います。

よりよい社会。ん、あいまいかなあ 笑。