コラム

2022/11/01

グリーンウォッシュを防ぐなら

グリーンウォッシュ防止を防ぎたいなら

TV番組でも報道されるなどグリーンウォッシュが話題になっています。グリーンウォッシュとは、「ごまかす」を意味する「ホワイトウォッシュ(White wash)」をもじったもので「あたかも環境に配慮しているかのように見せかける表示」のことを意味します。

 

たとえば、単純に「リサイクル商品」とうたっていても、実際使われているリサイクル素材はわずかだったり、「エコ商品」と表示されていても、販売会社がNPOに寄付をしているだけで、商品そのものは何の環境配慮もしていなかったり...といった具合です。

私はNPO法人環境市民のスタッフをしていた2011年頃にこの問題のチームメンバーの一人でした。約10年経ち、日本でもようやく、という思いと、それでもまだ欧米とは大きくかけ離れている日本の取り組み状況には落胆せざるを得ません。社会全体としての対応を引き続き期待しつつ、今日は、日々コミュニケーションの現場にいるからこそ思う、グリーンウォッシュ防止の秘訣を一つ、共有したいと思います。

 

それは一担当者だけではなく、組織全体でグリーンウォッシュの問題に対する認識を共有し、防止のための体制を構築することです。

例えば、商品を企画担当者はその製品の環境配慮ポイントを把握していたとしても、売上を強化したい宣伝部がついオーバーな表現をしてしまい、商品担当者のチェックをすり抜けて表に出てしまったり、営業担当者も広告担当者も、環境問題に関する理解が浅く、不十分な表現のまま表に出てしまったり...。企業にいる方であれば想像に難くない状況ではないでしょうか。

それぞれの担当者からすれば「そんなつもりはなかった」、トップに至っては「知らなかった」と言いたくなるところでしょうが、グリーンウォッシュは故意過失は考慮されません。情報を受け取る消費者はその表示が故意か過失かなんて知り得ませんからね。

 

グリーンウォッシュの防止の取り組みをされていた、米国のUL 環境事業開発部長(2016年当時)のスコット・ケース氏は

”Greenwash harms future generations (グリーンウォッシュは将来世代に害を及ぼす)."

とその問題の深さを指摘していました。担当者からすれば「その時だけ」の表示のつもりかもしれませんが、ごまかしのツケは将来世代におよびます。
そこまでの意識を持ってサステナビリティの訴求をしなくてはいけないということです。

ただ、だからといって、何も言わなくなってしまうのは最もよくありません。


「下手に取り組みを伝えると批判を受けるから言わない」「たいしたことをしているわけではないから表には出さない」「まだ一定レベルまで達していないからウェブには掲載しない」...こうしたコメントを何度聞いたことでしょう。

現在地を伝えることは、消費者、社会に対する企業の責任です。目標地点を示した上での現在地を正直に、正確に伝えましょう。最近では、大手であれば特に評価機関がコーポレートサイトを確認し、格付けをするケースも増えており、情報を公開していない場合は評価対象外(低評価)になることもあります。中小であれば関係ないとは言い切れません。サプライチェーンマネジメントが強化される中、情報の非公開、情報不足はチャンスの喪失、場合によっては「取り組まない」ことによるリスクを生み出すこともあります。

グリーンウォッシュの防止は単なる表示の問題にとどまりません。経営のあり方、事業戦略が真に環境保全に重点を置いているかどうかをはかるバロメーターになり
ます。

ぜひ関心を持った方はこれを機会に組織全体で取り組んでみてくださいね!



【参考】グリーンウォッシュの防止に関心のある方はNPO法人環境市民のウェブサイトへ