コラム
2023/03/02
虫が遊んだ跡なのね!
きんかんに伊予柑、ぽんかんに不知火。柑橘類の美味しい季節がやってきました。
冬の間に縮こまった身体を、ぐっと引き伸ばしてくれるような柑橘類の香りに癒されながら、果汁たっぷりなみかんをいただくのはなんとも幸せです。
さて、我が家では環境や社会配慮に熱心な生活クラブで食材を頼んでいるのですが、今回届いた「いよかん」には黒っぽい部分がありました。果物に添えられた説明を読んでみると......
「果皮が黒くなるわけーー昆虫のカイガラムシの分泌物により黒くなります。暖かい時期にお尻から砂糖水のような液体を出し、蟻に助けてもらう、共生の役目をしています。この液体が後に黒変します。簡単な農薬で防除できますが、福岡自然農園では一切農薬を使用しないため一定量発生します。味や健康には影響ありません。栽培でも減らす努力をしています」
なるほどそういうことなのか、と納得していると、ちょうどそこに6歳の娘がやってきました。事情をざっと説明すると「カイガラムシと蟻が仲良くした跡なのね」と一言。そう言われると、黒っぽい跡がなんだか素敵な印に思えてきました。
ちょっと黒くなる。ちょっと色が悪くなる。 農産物にはこうした「ちょっと」を抑えるがために農薬を使わざるを得ない。そんな話を農家さんから聞いたことがあります。でも今回のような説明があれば、農薬を使用せずともおさまるケースも結構あるんじゃないでしょうか。
以前、会員制のオーガニック食材を販売する会社で働いていた時のこと。 保存料を使っていないパンを販売していたのですが、夏場はカビが生えやすく、新しく会員になったお客さんからしばしばお叱り電話がきていました。でも、事情を説明すると大抵のみなさんは納得して、「カビが生えてよかった!」と思っていただけるほど変化していました(汗。決してカビが生えていいわけでもないのですが....)。
食べ物を自分で育てる人が少なくなった今。食べ物が虫や鳥とどう関わりながら育つのか。そんなことを丁寧に伝えていくことによって、減らしていける環境・社会負荷はまだまだたくさんあると思います。
きっと「カメムシと蟻」の話を読んだ人たちも「なあんだそうだったんだ!」と納得しているはず......
伝えれば世界は変わる! そんな確信を新たにしながらいただいた「いよかん」はいつもに増して美味しかったです♪