コラム

2023/06/19

手仕事で気づくこと

手仕事で気づくこと

突然ですが、忙しい時に限って...手間のかかることをしたくなってしまうことってありませんか。

今回、現実逃避的に私がやり始めてしまったのは「らっきょうづくり」。大人になって好きになったらっきょう。いつか自分でつくってみたいな、とずっと思っていたんです。そんな時、良さそうな低農薬の土らっきょうに出会ったのが運の尽き。


まずは、外側の薄皮を剥いていくのですが、これがなかなかの手間。最初は皮が剥けるかんじに妙なやりがいを感じていたものの、だんだん飽きてくる始末。そんな時にちょうど6歳児(娘)がやってきたので、早速手伝ってもらうことに。「らっきょうの皮って面白いねー」と盛り上げてみたのですが、30分もすると「ママ、飽きたからやめてもいい〜?」と早々に去っていきました。

その後、さらに30分ほど、黙々と一人で皮剥きをするハメに...。皮を剥いたら、土を落としながら洗って、傷んだものを取り除き、根っこなどをカット。 いや、なんて手間がかかるんだ...。 でも、作業をしながらいろんな疑問が湧いてきました。

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まずは、スーパーで買ったらっきょうの甘酢漬け。よく考えたらなんであんなに大きさが揃っているんでしょう。皮を剥いているとわかるんですが、らっきょうはの大きさは本当にさまざま。同じ大きさに揃えようと思ったら「規格外」だらけになってしまいます。大量生産をする場合はやはり大量の規格外品が捨てられているんでしょうか。

そしてこの手間のかかる作業を一体誰がしているのでしょう。皮はそう簡単には剥けません。爪でちょっとひっかけながら、分厚めの皮はもう一枚剥いて、とよく注意をはらいながら作業をしなければならず、ぼーっと無意識でできるような作業ではありません。もしかすると薬品につけて剥いてしまっているのでしょうか(みかんの缶詰の皮は薬品で剥いていると聞きます)。作業をしている人はちゃんとお給与をもらえているんだろうか。休み時間はあるんだろうか...。ついついいろんな心配事が頭を過ぎります。
 

農産加工品は、収穫したり、皮を剥いたり、種をとったり、なかなか機械では担えない作業が発生します。時にはそこに児童労働が使われることもあります。でも、自分の娘を見ていて思いますが、子どもは本来飽きっぽく、同じ作業を、しかもたいくつで、時にしんどい作業を何時間を黙ってやるような存在ではありません。もしさせようと思ったら、よほど精神的、肉体的に強制しない限りはやらないのではないかと思います。らっきょの薄皮を剥きながら、ふと、重いカカオの実を運ぶ子どもたちのしんどさを思い浮かべたのでした。

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ぷりっと白く光るらっきょうはまるでお風呂にでも入ってこざっぱりしたあの感じ。あとは、塩をまぶして一揉みしたら、一度沸かして冷やした水を入れて1週間。そこからさらに甘酢につけること1週間。できあがったらカレーをつくらなくちゃだなあ。

下ごしらえは2時間ほどかかりましたが、日頃机上で考えがちな環境、社会問題の根本をつかむ貴重な機会になった気がします。

何より、手を動かすのはやっぱり楽しい。本当は、何人かで仕事歌でも歌いながらやると楽しいんだろうなあ。

次は何をつくろうかなあ。現実逃避の旅は続く...笑。