コラム
2024/01/13
「反対し続けてくれている」その心は
昨年末、「花餅」づくりのワークショップに参加してきました。
ワークショップを企画してくださった農家さんのお話によると、その昔、お正月の時期に、お花の代わりにとつくられはじめたのがはじまりとか。考えてみれば冬は花がほとんどないのが当たり前。今ではいつでもどこでもお花が手に入りますが栽培の際には加温をするなど、環境に負荷がかかっているのかもしれません。
まずは用意してくださった梅の木選び。枝ぶりを見ながらできあがりを妄想するのは楽しいものです。次はお餅をつける作業。つきたてのお餅をつまみ食いしながらの作業の楽しいこと! 手も口も(笑)動かしながら制作にはげみました。赤いお餅は、人口着色料ではなく、黒米を使用。落ち着きある淡い紫がおしゃれです。あるモノを利用して「華やかさ」を表現しようとした昔の人のクリエイティビティーは今に勝るとも劣らないものがありますね!
さて、主催してくださったのは、作り手さんとの対話を大切にしながら、持続可能性を大切にした乾物やお野菜、雑貨などを販売している「すみれや」さん。こだわりの商品が盛りだくさんでついお財布の紐が緩んじゃいます。 特に立ち止まったのがこちら。
「祝島の人たちは、対岸に予定されている上関原発建設に35年以上前から反対し続けてくれています」
説明にあるように、このひじきは対岸で原発の建設が計画されている、山口県の祝島という場所でつくられています。
「反対運動といってもその人たちの問題だから当然しょ?」と思うかもしれません。でも本当にそう言い切れるでしょうか。
原発事故が一度起きれば、その地域の人たちだけの問題では終わらないことは東京電力福島第一原子力発電所の事故で明白です。核物質の性質を考えれば原発はどこにもあるべきものではありません。 反対運動は、気持ちも体力も消耗します。それを数十年も続けるというのは相当なものです。かといって建設予定地から離れている私たちが運動に参加したりするのは難しいもの。そう考えると「反対し続けてくれている」という表現は的を得た表現だなあと思いました。
作り手への深い理解、そこから生まれる尊敬や感謝の念が垣間見られる表現。私もこういう感性を持ってコミュニケーションをしていきたいな、と思わされました。ちなみに、このひじきはほんとに味わい深くて、軽く茹でて、さいの目に切ったお豆腐と一緒に、ポン酢とごま油でさっと和えるだけで絶品です。我が家では一瞬にしてなくなる人気レシピ。ぜひお試しを。
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