コラム

2024/11/28

グリーン車のおしぼりに思うこと

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最近、早朝、もしくは夜遅に新幹線に乗るときはときどき、グリーン車に乗るようになりました。
たかが椅子、されど椅子。降りた後の疲れが全然違います。昔は九州から東京まで18きっぷで行ってもへっちゃらだったのに。寄る年波には勝てません。

それはさておき、乗るといつももやっとすることがあります。それは、乗車すると配られるこのおしぼり。これはこれで手を拭いたり、夏は汗を拭いたりするのに便利なのですが、気になるのはおしぼりが入っている袋の広告。

「男のエステ ダンディハウス」。文字通り、男性向けのエステの広告です。

確かに、グリーン車はざっと見る限り、男性が多いと思います。あくまで見かけ判断ですが、中でもバリバリ仕事をしてそれなりの地位についていそうな方が多いです。その意味では、グリーン車の客層≒男性で自分の容姿にお金をかけられる層ということで、ターゲティングとしてはぴったりなのでしょう。

でもなんかもやっとします。

グリーン車に乗るのは、経済的、社会的にある程度成功してエステにお金をかけられる男性、と決めつけているこの感じ。ジェンダー平等ランキングがG7中、最低を記録し続ける日本の現実がダダ漏れです*。

最近は化粧品やファッションなどの分野では、色や形、ネーミングや仕様など、性別に限らず使えるように工夫された「ジェンダーフリー」「ジェンダーレス」マーケティングも増えてきました。よく考えたらなんでこれまで別々だったんだっけ?と思うものも少なくありません。こうしたマーケティングは特にZ世代に好感を得ているとききます。

もしZ世代がこのグリーン車のおしぼりの広告をみたら、どう思うでしょうか? Z世代はまだグリーン車には乗らないから構わない?
その感覚とマーケティングの積み重ねが、ジェンダーランキング120位前後をうろうろする日本につながっているのではないでしょうか。

たかが椅子、されど椅子。たかが広告、されど広告です。
小さな積み重ねが「バイアス」につながる、逆に言えば、社会を変える力になると捉えるべきです。

JR東海さん、乗り心地だけではなく、社会的影響をも考えた、センスあるマーケティングを期待しています。


*2024年版「ジェンダーギャップ報告書」(世界経済フォーラム(WEF))によると、日本は146カ国中、118位で主要7カ国(G7)では最下位。