コラム

2025/01/05

世界報道写真展2024京都

世界報道写真展2024京都

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、昨年末、「世界報道写真展2024京都」に行ってきました。

これは、世界報道写真財団(World Press Photo Foundation)が開催するWorld Press Photo Contest(世界報道写真コンテスト)の入賞作品を展示するもので毎年日本で開催されてきましたが、2021年を最後に休止していました。今回、京都新聞の松村和彦さんの連載、「700万人時代-認知症とともに生きる」の写真シリーズが2024年のコンテストで入賞したことをきっかけに復活しました。

 

冒頭の写真はドイツ。白い雨合羽に身を包んだ人々の列。一体何のための列だろうと思って解説を読むと、ドイツ、ラインラント地方で炭鉱開発に反対するデモ隊の人々との説明書きが。環境先進国ドイツで炭鉱開発? と目を疑いましたが、実は70年代から露天掘り炭鉱の用地を確保するために森林破壊がなされてきたとのこと。デモ隊は森や村の一部を占拠し、破壊される予定だった6つの村の内、5つの村、森の一部を守ることに成功したと解説されていました。


炭鉱開発は開発地域の自然を破壊するだけではなく、取り出した石炭を燃やせば当然CO2が排出され、気候変動が加速します。つまりドイツだけの問題ではありません。その意味で、遠く離れたドイツで、地域、さらには世界のことを思って戦ってくれている人たちがいることを知って胸が熱くなりました。


この他にも気候変動の影響による森林火災や干ばつ、ガザをはじめとする戦争、地震などの災害に苦しむ人々、そうした困難に果敢に立ち向かう人々。レンズが捉えた世界の「今」に、深い悲しみと共感、そして問題に立ち向かい続けることの大切さ、勇気を感じさせられました。


2025年も微力ではありますが、世界が少しでもよりよい方向に向かうよう、コミュニケーションを通じて尽力していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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「世界報道写真展2024京都」は写真の撮影が認められており、会場で撮影した写真を使用しております。この写真の撮影はDaniel Chatardさん