コラム
2021/06/13
あれから28年 気候変動とSDGs
もう、28年になります
1992年に気候変動枠組条約が採択されてから、既に28年! 京都議定書の採択から、早いもので、23年の月日が経ちました。1997年当時、学生だった筆者は、そのころから、社会の様子をずっと観察し続けてきました。
気候変動枠組み条約が採択された1992年にはリオ・サミットも開催され、2002年にはヨハネスブルクサミット、2012年にはリオ+20が開催されてきました。このグローバルな潮流の始まりは、1972年のストックホルム人間環境会議に遡るので、地球環境に関するグローバルな取り組みは、かれこれ48年、半世紀近い月日が流れています。
「気候変動」というより「気候危機」
この間、何が変わったかというと、気候変動の影響が現実のもとなっている、という事実です。
台風の発生の頻度が増えたり、一時的な雨量の急激な増加、珊瑚礁が白化したり、大規模な火事等が起こったりしているだけではなく、人々が豊かに生活する機会そのものを奪われ始めています。これまでに排出され、放置されてきた温室効果ガス濃度の高まりによって引き起こされる環境変化によって、人々の人権が侵害されている事態となっています。
京都議定書の後継のパリ協定は2015年に採択されました。また、同じく2015年には、SDGsも採択され、その中には気候変動への取り組みの目標も含まれています。
そして、2021年春、大国であるアメリカ政府が「2050年に実質ゼロ」を打ち出しました。そして、日本政府も「2050年に実質ゼロの高みに挑戦する」との旨を打ち出しました。まさに、政治の流れが変わった瞬間でした。
しかし、どのような方法でそれを実現するか、については、まだ明確化されていません。ただ、この政治的約束は、気候危機を乗り越えていくには欠かせないハードルであると言えます。これを受けて、日本のビジネスの競争条件も気候危機を乗り越えるためのものへと変わっていくでしょう。
ESG投資も、投資の条件に温室効果ガス削減を掲げたケースがほとんどです。エシカル消費においても、気候危機への対処は主要なテーマの一つであると言えます。これらは、パリ協定との相乗効果が期待されています。これからビジネスを優位に展開していく条件として、ビジネスによる気候危機への着実な取り組みとその社会発信は欠かすことができないものとなってきています。
「2050年に実質ゼロ」でも心配ごとがあります
しかし、まだひとつ、心配事が残っています。気候の変動の影響は、不可逆的と考えられています。つまり、温室効果ガスの排出を今すぐにゼロにしたとしても原状回復は難しいということです。さらに2030年を超えると、気候の変動影響が大きくなり、挽回が難しくなる、と考えられています。
そのためでしょうか、米国の先進的な企業には、2030年までに実質ゼロを宣言したり、過去の排出分にまで遡って削減すると宣言するという企業が現れています。2050年までに実質ゼロという目標は科学的に正しいとされています。しかし、2030年までにできる限りのことをしなければ、「我ら共通の未来」は、気候変動による悪影響が勝る未来になりかねません。
ビジネスを通じて、気候危機への対応をはかり、利益を生むビジネスモデルが、今まさに求められていると言えます。
(SWAVE シニアアドバイザー 川本 充)
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