コラム

2020/07/28

上勝町ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学!(オンラインでね)その2

上勝町ゼロ・ウェイスト・センター「WHY」を見学!(オンラインでね)その2

こんにちは! さて、前回に引き続き徳島県上勝町のゼロ・ウェイストセンター「WHY」のオンライン見学イベント(主催 アカデミーヒルズ)に参加したお話です(前回の報告はこちら)。
(今回も画像は動画のキャプチャになります。画像はブレブレですがご了承ください。なお、画像掲載は主催者に許可をいただいております)

前回は、最後に、ホールの窓(写真右)にはあるものがリユースされているのですが一体なんでしょう?というクイズを出していました。


選択肢は 1.上勝町の間伐材   2.魚の網   3.キノコセンターのカゴ

答えは... 3.キノコセンターのカゴ、でした! 近づいてみるとこんなかんじ。まさにカゴ!ですね。
建築設計をされた建築家の中村拓志さんによると、「WHY」は設計ありき、ではなく、「先にごみありき」で考えられていったそうです。ごみを素材としてみるといろんな発想が浮かんでくるものですね。

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さて、いよいよお待ちかね、こちらがWHYのホテルです!

コンセプトは"ゼロ・ウェイストアクション"。つまり、宿泊した人が滞在中ゼロ・ウェイストを実践する工夫がされています。

いったいどんな工夫なんでしょうか。

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まずは部屋の扉。WHY、WHY、WHY...

施設の名称がみっちりスタンプされていますが、スタンプを押されている紙は新聞広告で、特に大量消費を煽るような広告を使い、その上に「WHY」の印刷を施したそうです。

「なんでそんなにごみが出るものを作って売るの?」

なんて露骨に書かれているわけではないのですが、それだけに心に刺さりそうです。

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ホテルには歯ブラシやシャワーキャップといったごみになるアメニティはついていないので基本は持参する必要がありますが、忘れた人には竹製の歯ブラシが用意されているそうです。石鹸も希望者には提供されますが、この通り、必要な量をリクエストして持っていく仕組み。こんなふうに石鹸を受け取るのもいいですね。

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まるで部屋の中に木が生えているのかのような柱。木を丸ごと柱として活かすことで、ごみになってしまう枝を減らし、無駄なく活用しています。何かをひっかけてみたくなるのは私だけでしょうか。

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ちょっと疲れてきたところでコーヒーで一服。豆は飲む分だけその場で挽いてくれるそう。ということは、いつも挽きたての香り高いコーヒーが楽しめるということですよね! なんて素敵。サーバーは何度も使えるステンレス製。何度も洗って使える陶器のカップに、粉は密閉性のあるガラスの容器入り。コーヒーの出し方一つとってもゼロ・ウェイストスタイルにするとおもてなし度がぐっとUPしそうですね。


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ホテルの楽しみといえばやっぱりご飯。こちらはホテルの朝食例。地元の新鮮な素材を使った食事を陶器やグラスに入れて届けてくれるそうです。美味しそうなベーグル!

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宿泊者には、写真のような分別ボックスが用意されており、宿泊中に出たごみをそれぞれに分けて入れ、チェックアウトする際に、ごみステーションで分別の体験を行います。分類は紙類、生ごみ、飲料ごみ、プラスチックマークのあるプラスチック、プラスチックマークのないプラスチック、その他ごみの6分別。いきなり45分別は難しいのでまずは初級編、といったところでしょうか。それでもやってみるといろんな気づきがありそうです。

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上勝町の取り組みを上勝で終わらせない

「WHY」のオンライン見学報告は以上で終わりです。いかがでしたでしょうか。

「すごい!」と思う反面、「人口が少ない上勝だからできるんじゃないか」と思ってしまう方もおられるかもしれません。

これに対し、案内をしてくださった上勝町のブルワリー「RISE & WIN」の田中達也さんは「ごみはみんなが出すものなので大都市でもできることはあるはず。たとえばまだ使えるものをリユースする、くるくるSHOPを会社や大学につくることはできるのではないか」と提案されていました。

たしかに、
場所や期間を限定したりすれば実践できる機会はたくさんあるはず。すでに上勝町が取り組んでいることも、これからチャレンジしていこうとしていることも、「上勝だから」で終わらせるのではなく、それぞれにやり方をみつけ「My Kamikatsu project」ができるといいなあと思いました。


ちなみにどうしても個人や自治体の努力では減らせない「2割」のごみをどう減らしていくかについては、今後、企業や大学などのパートナーシップによって調査研究、実践をされていくそうです。
この「2割」は上勝町だけの課題ではなく、世界全体の課題でもあります。製品をつくりだす企業にはぜひ積極的に課題解決のプロセスに参加してほしいと思いますが、同時にカギとなるのは商品を購入し、使い、廃棄する消費者、私たちのライフスタイルや価値観ではないかと思います。その意味ではこの「2割」に消費者としても関心を持ち、かかわっていきたいものですね!


最後は、WHY HOTELの一室から。こんな景色を眺めながら朝食を食べればいいアイデアが浮かぶかもしれませんね。早く行ってみたいなあ.....

ではまた!

 

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参考リンク

英語タイトルですが中身は日本語です。

ZERO WASTE TOWN KAMIKATSU

KAMIKATSU ZERO WASTE CENTER

・今回のイベントの詳細(こちら

 

 

 

 

 

 

2020/07/22

上勝町ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学!(オンラインでね)その1

上勝町のゼロ・ウェイスト・センター「WHY」を見学!(オンラインでね)その1

先日、今年の5月30日(ごみゼロの日)に徳島県上勝町にオープンした、ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学しました! といっても実際に行ったわけではなく、現地生中継で紹介してくれるオンラインイベント(主催 アカデミーヒルズ)を通しての見学だったのですが、IT技術のおかげで詳しく知ることができました。

ゼロ・ウェイストタウンで知られる上勝町は、90年代初頭、世の中がまだバブル絶頂期の最中にごみ問題の議論をはじめ、2003年には日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を出しました。

ゼロ・ウェイストとは「無駄、浪費、ごみをなくすという意味。出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方」(上勝町ウェブサイトより)。つまり、3Rの中でも最も優先度が高いReduce(ごみの発生抑制)を実践し続けています。

目標として「2020年までに焼却・埋め立てごみゼロ」を掲げてきたのですが、どうしても個人や一自治体の努力では処理できないものが「2割」残ってしまうことが課題となっています。残り「2割」の中身とは何か、そしてこの「2割」に上勝町が今後どうチャレンジしていこうとしているのか。「WHY」を探検しながらご紹介します!

(画像は動画のキャプチャになります。画像はブレブレですがご了承ください。なお、画像掲載は主催者に許可をいただいております)

 

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「WHY」は、「WHYという疑問符を持って生産者と消費者が日々のごみから学び合い、ごみのない社会を目指す」こと目的としています。

建物の形はユニークで、その名称を形にしたような、はてなマーク(?)の施設になっています。上から、ごみを収集・分別する「ゴミステーション」、町民がまだ使えるものを持ち込んで、必要な人は持ち帰りができる「くるくるショップ」(町民以外は持ち帰りのみ)、イベントができる「ホール」、大学や企業の「オフィス・ラボ」、そして宿泊施設まで完備された、ゼロ・ウェイストを学べる複合施設です。

施設をご案内くださったのは「WHY」を運営するビッグアイカンパニーCEOの大塚桃奈さんとゼロ・ウェイストの理念に基づいて上勝町でブルワリー「RISE & WIN」を2015年にスタートさせた田中達也さん。


まずは、ごみを収集・分別する「ゴミステーション」。上勝町はごみ収集がなく、町民が自分のごみを持参し、ここで分別します。その数45種類! 埋め立てや焼却ごみをなんとか減らしたいと思い取り組んだ結果、ここまで増えたそうです。(詳しく知りたい方は上勝町の資源分別ガイドブックへ。これをみているだけでもいろいろ考えさせられます)

「ごみ集積場といってもここはごみ特有の匂いがないんです」と大塚さん(オンラインでは残念ながらわかりませんでしたが...涙)。

というのも、上勝町では生ごみの回収はしておらず、各家庭でコンポストをしてもらっているそうです。上勝町の世帯数は約730世帯。全世帯で生ごみコンポストをしていると考えると驚異的です。(コンポストの購入支援は有)

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ガラスびん一つとっても色の違いで分かれています。

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実際に上勝町流45分別を体験してみることに。お題は、牛乳パック、レシート、ラーメンのカップ、使いかけの塗料が入った小瓶、化粧コンパクト、香水の瓶、乾燥剤。回収箱にはそれぞれ、回収コストが表示されています。たとえば、プラスチック容器は汚れていなければ+0.49円/kg、汚れていると-53.8円/kg。表示のおかげでプラスチック容器をきれいに洗う町民が多いそうです。

そして、塗料が入った小瓶、化粧コンパクト、香水の瓶、これらは埋め立てごみへ。乾燥剤は焼却ごみへ。これらが、上勝町の最後の難問、個人の努力では減らせない残り「2割」のごみに該当します。

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こちらは、リユースを実践できる「くるくるショップ」。まだ使えるけれども不要なものを持ち込める場所です(持ち込みは町民限定。持ち帰りは誰でもできます)

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もともと中学生のアイデアで生まれたショップだそうです。説明がなければどこかのセレクトショップかな、と思ってしまうおしゃれ感がありました。

持ち帰りの際は、重さを測って名称を記入します。こんな感じで、これまでにどれだけのモノがごみになるのを避けることができたかが表示されています(期間は不明ですが750kg)。

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もうお気づきかもしれませんが、この建物にはあちらこちらにごみとして捨てられるはずだったものが活用されています。くるくるショップのシャンデリアは3000本のガラスボトルを使用。受付デスクには一升瓶のケースを利用。まるでアップサイクルの見本市のようです。

これもアップサイクル。さて、どの部分がアップサイクルかわかりますか?

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答えは窓枠です。町民にいらなくなった窓枠を募ったところ、700枚も集まったそうです。過疎化が進む町では不要な窓枠も多くあったのかもしれません。

でもこうして使われることによって、町民同士が「あ、この窓は○○さんちのだ」と会話をするきっかけになったり、夜には明かりが灯り、かつての集落の賑わいを思い起こさせるモニュメントにもなっているそうです。素敵なストーリーですよね。

 

さて、こちらは交流ホールの窓。なんとなくステンドグラスのような素敵な窓(素敵に見えない場合は写真のせいです 汗)なんですが、これはあるものを活用しています。

さて、なんでしょう?  1.上勝町の間伐材   2.魚の網   3.キノコセンターのカゴ (「世界ふしぎ発見!」風に読んでください 笑)

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だんだん長くなってきて、くたびれて疲れてきたと思うのでこのへんで一休み(笑)。答えは次回ご紹介します♪ 

2020/07/10

いいね!TIGERステンレスボトル『4つの約束』紛争鉱物、フッ素問題にも言及

いいね!TIGERステンレスボトル『4つの約束』紛争鉱物、フッ素問題にも言及


水筒が大活躍する季節になりました。


水筒メーカーの一つ、タイガー魔法瓶株式会社がこの7月から、ステンレスボトルの新CMで「4つの約束」なるものを打ち出しているそうです(CMはページ下参照)。

その中身とは「NO・紛争鉱物」「NO・フッ素コート」「NO・丸投げ生産」「NO・プラスチックごみ」。「NO・プラスチックごみ」は製品自体がステンレスなのでそれはそうかな、と思いながらも、「紛争鉱物」「フッ素コート」の話題を打ち出している企業はなかなか珍しいなあと思いました。

紛争鉱物はエシカル消費の中でも一つの大事なポイントですが、これまでは家電など特にかかわりが深い企業以外、訴求している企業はあまり見られなかったように思います。プレスリリースをみると、紛争鉱物については「製品の製造に使用する材料や構成部品に含まれる鉱物資源が、社会的な影響を及ぼしていないかどうかサプライチェーンで確認を行い、懸念鉱物がある場合には、不使用に向けた取り組みを推進」、「15歳以下の労働者のいる企業に発注しません」と書かれていることから、社内で確認体制を整えたのでしょうね。

 

フッ素コートされている水筒やフライパン、鍋などは結構ありますが、日本では問題視されることは少なく、企業側からフッ素の問題が打ち出されているのはとても新鮮に感じました。プレスリリースをみるとフッ素を塗布しない代わりに「独自の研磨技術で内面の汚れやニオイを防ぐ」とあります。以前からフッ素を塗布していない水筒は販売されていましたが、今回こうして明確に打ち出していることには拍手を送りたいですね。

たった4つの約束、かもしれませんがきっと社内ではさまざまな攻防があったのではないかと想像します。どうやって実現にこぎつけたのか、お話をうかがってみたいものです。
⇨<新着情報>その後...ideas for goodにて取材させていただきました!みっちり取り組みの背景をまとめたのでぜひご一読ください(記事はこちら


水筒という馴染み深い商品を通じて、日本ではちょっとマイナーな問題への認知度が高まることに期待しています!



プレスリリースはこちら(リンク
CM動画は以下

2020/07/07

エシカルをポストコロナの強みに

エシカルをポストコロナの強みに

2020年4月30日に、Yahoo! JAPANが運営する「エールマーケット」と世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」の主催で開催されたオンラインイベント「コロナショックから生産者を救うために、私たち消費者ができること ~世界の取り組みに学ぶエシカル消費の可能性~」でのコメントを紹介していただきました。

「コロナの状況をきっかけに、これまでは変われないと思っていたことが、どんどん変わってきています。例えば、農家と漁業、生産者と小売事業者、生産者と消費者などが直接つながり、これまでのボーダーを越える取り組みが日々起こっています」

「そのなかで、事業者にとってもエシカルを意識することは強みになります。厳しい状況下でエシカル、サステナブルといったことに取り組む余裕はないと思われるかもしれませんが、今こそエシカルを意識し、消費者とのつながりや強固なコミュニティを作っていくことが重要になるのではないでしょうか」

 

イベントは4月30日ということで外出・営業自粛真っ只中の時期でしたが、海外の状況、国内で事業を営まれている方の生の情報をききながら、日頃の「つながり」がこうした危機におけるレジリエンスと深くかかわっていることを再認識しました。その意味では、お客様との「つながり」が強く、深い、エシカル商品の販売事業者は「強み」になるのではないでしょうか。

 

新型コロナによる貧困や格差の拡大などが深刻化していますが、「エシカル」を強みに、負の影響をはねかえすほどプラスの動きが生み出していきたいものですね。

 

記事の詳細はこちら

当日の動画はこちら↓

 

 

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