コラム

2021/03/01

テレビ局へのプレスリリースにもんもん......

テレビ局へのプレスリリースにもんもん......


「特に担当者の名前をご存知でない場合はおつなぎできません」

最近、テレビ局にプレスリリースをした時のこと。ある番組の報道担当につないでもらおうと思い、代表番号に電話をしたのですが、窓口の方にこうあしらわれてしまいました。

個別の担当者の名前まで求めるなんて。電話口でしばらく考え込みました。

昔(10年前くらい...)は、特定の担当者の名前まで知らなくても、とりあえず部署の方にはつないでいただいたように記憶しています。それが、昨今のテレビ局は「どの番組の誰あてなのか」がわからないとつないでくれないところが増えているようです。

テレビ局からすると、毎日、山のようなプレスリリースが届いてやってられない! 必要な情報はこちらから取りに行きます、ということなのかもしれませんが果たしてこれでいいのでしょうか。

特にNGOなどマンパワーの限られた小さな組織にとって、メディアの特定の誰かとつながるのは時間も労力のかかるもので、個別の担当者などそうそう知り合えるものではありません。社会をよりよくしていこう、そのためになんとかメディアにリーチしたい、と思っても「担当者を知らなければつなげません」と言われてしまえば、情報を届けることすらできません。

こうなると、資金力もあり、マンパワーもある組織だけが大手メディアにリーチしやすくなる、つまり、ますますお金と権力を持った組織が声を強められるようになってしまう。そう思ってしまうのは考え過ぎでしょうか。

確かにプレスリリースの内容や質は玉石混交でしょう。内容がわかりづらいもの、商品の単なる宣伝的なもの、何かに対して苦情を言っているだけのもの......そんなものもあるかもしれません。それでも、テレビメディアは公器であるはずです。

もう一度、小さな声を拾う手間ひまをかけてくれないかな。

ぷーぷーぷー。もんもんとした思いが込み上げて、あっさりと切られた電話の受話器をすぐに置くことができませんでした。

 

追伸:さすがにNHKさんは丁寧に対応してくれます。

 

2021/01/30

手づくりブーム エシカル消費ルネッサンスになるか?

手づくりブーム エシカル消費ルネッサンスになるか?

おうち時間、皆様いかがお過ごしでしょうか。

最近、我が家ではピザづくりにハマっています。
そんな話を環境市民のメールマガジンに書いてみました。みなさんが最近ハマっている手づくり品はありますか?


「手づくりブーム エシカル消費ルネッサンスになるか?」

ピザのつくり方はいたって簡単。
小麦に酵母を入れて捏ねて待つことしばし。
さらに捏ねてはのばしてチーズや玉ねぎ、好きなトッピングをのせて焼くだけ。
たいしたものではありませんが、手前みそならぬ手前ピザは格別な美味しさがあります。

小麦は、プレハーベストやポストハーベストの心配のない国産小麦や、
食品添加物の入ってない天然酵母を使用。

自分が納得する素材を選べるのも手づくりの良さです。

手づくりしてみるといろんな気づきがあります。
特にエシカル消費につながる学びがあります。

家で手作りを経験した上で市販のものをみると添加物が何か一目瞭然に。
「化学調味料(アミノ酸等)をいれなくても十分美味しいのに
なんで入れるんだろう」

そんな素朴な疑問も湧いてきます。

また、市販のものと同じような甘み、塩味にしようとすると、
大量の塩や砂糖が必要になることに気づき、
市販のものには一体どれだけ入っているの!?と驚きます。

酵母はその日の気温や湿度で反応が変わり、面倒でもありますが、
面白さもあり、本当のパンづくりは太古の昔から共存してきた生き物の力を借りていることにも気づかされました。


コストもしかり。
自分でつくると安くて美味しいのは確かなのですが、
その手間ひまの人件費を考慮すると、
「なんで市販品はあんなに安くできるんだろう……」と疑問に思うことも。

 

コロナを機に、手づくりに親しむ人が増え、アフターコロナに少しでも
健康や環境に配慮した製品が生まれるきっかけになれば、と思う今日この頃です。



(補足)
・ポストハーベスト:収穫後農薬を散布すること。残留する可能性が高い。
・プレハーベスト:収穫前にに、収穫を楽にするため、除草剤散布すること。米国、カナダで増えているといわれる。除草剤として最も多く使われているのが発癌性が指摘されているグリホサート。

ちなみに日本ではグリホサートの残留基準が2017年に緩和されるなど取り組みが後退している。

 

2021/01/06

『シドニーダイアリー』公開 /HAPPY NEW YEAR

「シドニーダイアリー」を公開しました

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞうよろしくお願いいたします。

昨年はコロナに始まりコロナに終わる大変な一年でしたが、以前にも増して、サステナビリティにかかわるさまざまなお仕事の依頼をいただくことができました。これまでのつながり、新しいご縁に感謝するばかりです。


思えば、子どもが生まれ、なかなか動けなかったため、コロナ前からリモートワークだったのですが、コロナ禍でさらに世界的にリモートワークにシフトしたことは不幸中の幸いでした。これを機に、多くの人がより仕事や家事、子育てを楽しめるような働き方、暮らし方になれば、コロナ禍でのよい置き土産にできるかもしれません。

しんどいことが続く日々ではありますが、この間、私たちは何を置き土産として残せるのか。大変さに振り回されるだけではなく、次を見据えて行動していければ、と思っています。

置き土産といえば、昨年はサステナビリティに関しては世界的に関心の高まった一年でもありました。
これを単なる「気づき」に終わらせず、定着、さらには大きく(早く......)、確実にシフトさせていく必要があります。今年はそんなこともさまざまな場でいろんな方々とコラボしながらチャレンジできれば、と思います。

最後になりますが、2016年に発行しました、ブックレット『Sydney diary(シドニーダイアリー)』を無料公開いたします。PDFの容量が重く、個別にご連絡いただいた方にお送りする形になりますが、希望される方はお問い合わせよりメールアドレスとお名前をお知らせください。

 

2021年がサステナビリティに大きく舵を切る一年になりますように。
また、皆様にとりましても素敵な一年になりますように。今年一年どうぞよろしくお願いいたします。

 

『Sydney diary(シドニーダイアリー)』について

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 エコロジカルでエシカルなシドニーの暮らし NGO、事業者、自治体取り組みどうすれば消費、暮らしのあり方をエシカルに変えられるのか。市民、NGO、事業者、自治体、それぞれのセクターがどう行動すべきなのか。オーストラリアのNGO、エシカル・コンシューマーズ・オーストラリアで活動をしながら20以上のNGOや企業、政府関係者にインタビューした内容をまとめまています。

<内容> 時代は持続可能な消費へ/水道水で行こう/きれいな海、生き物のために デポジット制度導入 / (コラム)いい写真を撮ろう/食べることがもっと楽しくなる量り売/修理って楽しい! リペア・カフェ/ (コラム)環境NGO&ベンチャーが集うエコビル 海を守るレストラン/いつも暮らしのそばに グリーン・リビング・センター/サステナブルな家づくりを応援/ (コラム)美味しい 楽しい マーケット/ファッションで難民、移民の仕事をつくる/消費者を誤解させる表示にNO! /(コラム)チョットだけ 誌上チョイスツアー!/ファッションブランドの労働問題を調査/ITでエシカルショッピングを簡単に /(コラム)ショッピングモールにフェアトレードショップ/署名って効果的? /持続可能な消費を実現するカギは? 

〈発行〉認定NPO法人環境市民  〈仕様〉A4判 36頁(フルカラー)

 

★このページの冒頭にある写真は、シドニーにあるMSC認証レストランFish&coでいただいたMSC認証帆立のサラダ。このレストランを立ち上げたシェフへのインタビューもダイアリーで紹介しています。

 

 

2020/12/28

コロナ禍で見出した エシカル消費の次なる一手

コロナ禍で見出した エシカル消費の次なる一手とは

慌ただしかった2020年ももうすぐ終わろうとしています。

今年は新型コロナに振り回された一年でした。多くの人がリモートワークとなり、家で過ごす時間が長くなりました。ライフスタイルが大きく変化する中、消費という観点からみると、多くのモノを消費したり遠くに行かなくても、身近な場所、身近にあるモノで心地よく暮らせることに気づく機会になりました。一方、仕事、収入を失い、生活が苦しくなる人たちも増え、社会の弱点も明らかになりました。

こうした変化の中、エシカル消費はポストコロナにおいても持続可能な社会をつくっていくために何らかの役割を果たしていくことができるのか。そんなタイムリーでとても大切な議論が「とくしま国際消費者フォーラム2020」(オンライン/リンクはこちら)で行われました。

30年以上にわたり雑誌『Ethical Consumer』を発行し続けているエシカルコンシューマーのロブ・ハリソン氏、私もシドニーでお世話になった、エシカルファッションアプリ Good On Youの創設者であるゴードン・ルノフ氏、そして米国のエシカル消費アプリ、ベターワールドショッパー代表のエリス・ジョーンズ氏などそうそうたるメンバーが、各国の状況、それぞれの専門分野で見えてきたこと、今後の展望について議論しています。

印象に残ったのは、大変な最中ではあるけれども、コロナ禍での経験、そしてこの変化をエシカル消費の推進の加速に活かしていけるというポジティブなメッセージ。パネラーの多くはこの間、多くの人がサステナビリティへの関心を高めた兆候がある、と口々に言いました。そして無理やりではありましたが、多くの人が少ない消費で豊かに暮らす術も身につけはじめたり、、科学に基づいた情報、リテラシーの大切さにも気づきはじめている、と。

これら全ては今後、気候変動をはじめ持続可能な社会をつくっていく上で役立つ、いわば「ソフトインフラ」。こうした変化をエシカル消費の次なる発展につなげない手はありません。

苦労の絶えない、大変な一年ではありましたが、ポストコロナにおけるエシカル消費の推進に向けて、前向きなヒントを見出すことができました。

お正月休みにぜひご覧になってみてください。

最後になりましたが、今年も大変お世話になりました。どうぞ健康に気をつけて楽しいお正月をお過ごしください。
Be safe and a happy holidays!

 

 

 

 

 

 

2020/12/22

きじまに学ぶ これからのサステナビリティの取り組み方

きじまに学ぶ これからのサステナビリティの取り組み方

慌ただしかった2020年ももうすぐ終わろうとしています。
先日、ファミリー忘年会と称して、和食店「きじま」に行ってきました。

同店は、私が広報担当をしている株式会社シーフードレガシー他、さまざまなNGOと一緒に実行委員会形式で行っている「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」にて今年チャンピオンに選ばれました。(詳しくはこちら

日本の和食店で初のMSC/ASC認証水産物の提供している他、お米は自然栽培100%、鶏肉や卵は平飼いで抗生物質や成長ホルモン不使用、遺伝子組み換え穀物を与えていないものを使用しています。食材以外にも合成洗剤を撤廃し、仕出しやケータリングの際の容器は全てFSC認証材の木や紙に変更するなどサステナビリティに積極的に取り組んでいます。

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(写真:メニューのあちらこちらに認証ラベルの説明などがありました)

さまざまな取り組みの先進性もさることながら、こうした取り組みの進捗を公開している点に共感を持ちました。一連の取り組みは「きじま オーガニックチャレンジ」と題してウェブサイトでその進捗状況も公開されているので誰でも状況を確認できます(こちら

ウェブサイトを拝見すると全ての項目において決して100%というわけではありません。たとえば、養殖に占めるASCの割合は6割となっています(以下ウェブサイトより抜粋)。

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6割という数値が多いか少ないか、ということではなく、これが本来の取り組みのあり方ではないかと思いました。つまり、一個人で考えても一足飛びに理想に近づけるわけではなく、少しずつ達成していくものであるはず。だとすれば、「今はこの段階で、目標をめざしてがんばっているんです」と説明された方が消費者としても客観的に理解すると同時に応援する気持ちが芽生えるように思います。

企業のサステナビリティレポートなどを拝見しているとまだまだネガティブ情報、進行中の情報はなかなか開示されていません。しかし、昨今、サステナビリティに関する取り組みに対する社会的要求は高度に、かつ複雑に、しかもスピードを求められるようになっています。公開されていなければ「やっていないのかな?」と思われても仕方ありません。

さまざまな事情はあると思いますが、山に登っている途中段階であってもできる限り状況をオープンにし、さまざまな組織と協業しながら、時には消費者の共感、協力も得ながら取り組みの速度を早めていくことが重要ではないでしょうか。

 

美味しいお料理に舌鼓をうちながら、サステナビリティの新たな取り組みアプローチに期待を高めたひとときでした!

<きじまについてはこちら(リンク)>
 神奈川県内に6店舗あります。お近くに方はぜひ行ってみてください。


(写真:メニューのある1ページ。取り組みに対する思いが伝わってきますね)

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