コラム

2020/09/08

週末はスーパー調査 サステナビリティ表示 伝わってる?

週末はスーパー調査! サステナビリティに関する表示に興味津々

週末、スーパーに買い物に行くとついつい、サステナビリティに関する表示に見入っては長居してしまい、いつも家族に嫌がられてしまいます 笑。先日もイトーヨーカドーに行ったところ、サステナビリティ関連の表示がいろいろあり、ついついにわか調査をはじめてしまいました。

まずはこちら。「すごいデニム」。この「すごい」は履き心地であって、環境負荷を低減したことを指しているのではないようですが、それにしても内容がなかなかマニアック。製造工程時の水の使用量を削減しました、と書かれています。

 

 

こちらはペットボトルをリサイクルしてつくられたインナーのご案内。商品パッケージだけではなく、マネキンさんやペットボトルなどモノも並べるなど随分力が入っています。

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オーガニックコットンのインナーやTシャツ、タオル類なども随分増えましたね。ざっと商品ラベルを見ただけですが、自社基準ではなく、ちゃんとオーガニックコットンであることを証明するGOTS認証を取得している商品が多い点も驚きました。

時代は変わってきたなあ、と感じつつ、こうした展示や表示が消費者に、どれくらい、どう伝わっているのか、すごく気になります。お店の方も何を伝えるか、どうすれば伝わるか、きっと試行錯誤されているはず。

いつか両方に調査をしてみたいなあと妄想を膨らませつつ、週末調査はまだまだ続きそうです(笑)。

 

 

 

 

2020/08/28

マダガスカルからアグロフォレストリバニラが届きました!

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何とも甘いいい香り。思わず何度もくんくんしてしまいます。

アグロフォレストリとは、農業を意味するアグリカルチャー(Agriculture)と林業を意味するフォレストリー(Forestry)を組み合わせた造語で、熱帯地方で森を守りながら作物も育て、現地の人が収入も得られる農法として注目されています。コーヒーやバナナ、胡椒やシナモン、そしてバニラ などさまざまな作物を在来の植物と混栽するので「ここが畑です」と言われても一見するだけではわからないほど生態系豊かな環境を保つことができます。

熱帯雨林は特に破壊のスピードが速く、たとえば地球上の酸素の2割を供給するアマゾンの森林は1分でサッカーコート1.5個分が消失していると言われるほど。森林を守りながら現地の方の暮らしも守ることができるアグロフォレスリ栽培は森林破壊を止めるための重要な解決策として注目されています。

このバニラを送ってくださったのは、以前、ideas for goodで取材させていただいたCo・En Corporationさん。マダガスカルのアグロフォレストリバニラを継続的に調達していくためにクラウドファンディングに挑戦されていたところ、少しだけ応援させていただいた返礼品としていただきました。

実は日本で流通するバニラの9割はマダガスカル産。そのほとんどは森の生態系を大切にするアグロフォレストリ栽培ではなく、また農家に対する買いたたきも深刻だといいます。こうした問題を解決しようと立ち上がったのがCo・En Corporationの武末克久さん。

マダガスカルから日本に届くまでの道中も随時発信されていたので、ポストで包みを発見したときは思わず声をあげてしまいました。

遠く離れた国であってもこうして心温まる関係を築けるのはなんともうれしいものですね!

森や生き物、人も大切にして育てられたバニラ。どうやっていただくか、悩ましいです。

 

Co・En Corporationのウェブサイトはこちら

ideas for goodの記事:マダガスカルとアマゾンの森のなかで共生する農業「アグロフォレストリー」がグッドな二つの理由

 

2020/08/07

夏休み自由研究! セルローススポンジを埋めてみた

夏休み自由研究! セルローススポンジを埋めてみた

ない! あったはずのスポンジがない、ない、ない!

夏休みといえば自由研究。最近、台所スポンジをセルロースのものに変えてみたのですが、パッケージに「廃棄すれば簡単に分解(腐敗)し土に還ります」と書かれているのでほんとかどうか、やってみることに。

 

プランターに埋めたのは7月21日。こんなかんじ(写真上)。

約1週間後の7月26日にもう一度掘り返してみると、まだ形がありました。スコップでつつくと少し柔らかいかな?という感じ。

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そして約3週間後の8月2日。掘り返してみると...ないっ!ないないない!やっと探してでてきたのがこちら。

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小さなかけらがみつかりましたがこれ以上はいくら掘り返しても何も見つかりませんでした。確かにパッケージにはと書かれているのですが正直半信半疑でした。ここまでなくなるとはびっくり。念のため、販売会社の株式会社スピカコーポレーションに電話をしてみると「そうですねー、はい、分解されてなくなります」とあっさり。

セルロースの原料は植物性パルプ。パルプ中のセルロースを化学処理したビスコースに気泡を加え、セルロースに戻したものがセルローススポンジ、だそうです※1。

ただ、植物性原料=土に還る、わけではありません。中には小さな粒子の状態になるだけで、生分解(biodegradable/バクテリアや細菌、微生物の働きによって、完全に分解されること)されないものもあります。この場合、粉々になるだけなので除去もできず、かえってややこしくなります。また、中には生分解に一定の時間を要したり、有害物質を残す場合もあります。植物性だからといって安易に使ったり、ましてや「植物だから分解されるんだろう」とポイ捨てしたりすることがないよう注意が必要です。


今回のように、跡形もなくなく、微生物によって分解され、有毒な残留物も出ないものは堆肥化可能(compostable)プラスチックと呼ばれます※2。ここでも注意点が一つ。堆肥化可能と書かれているからといって、今回のようにプランターに放ってすぐに土に還るというわけではありません。今回は夏で気温も高く、雨による湿気もほどほどにあったため、早かったように思いますが、気温が低い季節など条件によっては時間がかかります。

国際規格の多くは、樹脂の6割が180日で分解されるということを一つの基準にしているそうですが、これは温度を50度以上に保っている堆肥化施設を前提にした話。家庭の庭やプランター、畑とは事情が違います。また、最終処分場に行ってしまった場合は酸素不足により分解されない......という落ちも。

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バイオプラスチック、生分解性プラスチック、堆肥化可能プラスチックといった表示はよくよく説明書きを読んで、注意深く商品選び、廃棄処分をした方がよさそうです。

 

いずれにしても、やっぱり実際にやってみる、というのは大切ですね! セルロースは本当に土に還るんだ、ということがわかってすっきりしました。子どもと一緒に、いろんなものを埋めて「土に還るかどうか?」「何日ぐらいで土に還るか?」やってみるといい自由研究になりそう。ぜひやってみてくださいね!

 

※1 富士ケミカル株式会社

※2 ASTEMインターナショナル、ISOの定義による

参考文献『プラスチックフリー生活』(NHK出版)シャンタル・プラモンドン・ジェイ・シンハ 服部雄一郎訳

 

 

 

 

 

2020/07/28

上勝町ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学!(オンラインでね)その2

上勝町ゼロ・ウェイスト・センター「WHY」を見学!(オンラインでね)その2

こんにちは! さて、前回に引き続き徳島県上勝町のゼロ・ウェイストセンター「WHY」のオンライン見学イベント(主催 アカデミーヒルズ)に参加したお話です(前回の報告はこちら)。
(今回も画像は動画のキャプチャになります。画像はブレブレですがご了承ください。なお、画像掲載は主催者に許可をいただいております)

前回は、最後に、ホールの窓(写真右)にはあるものがリユースされているのですが一体なんでしょう?というクイズを出していました。


選択肢は 1.上勝町の間伐材   2.魚の網   3.キノコセンターのカゴ

答えは... 3.キノコセンターのカゴ、でした! 近づいてみるとこんなかんじ。まさにカゴ!ですね。
建築設計をされた建築家の中村拓志さんによると、「WHY」は設計ありき、ではなく、「先にごみありき」で考えられていったそうです。ごみを素材としてみるといろんな発想が浮かんでくるものですね。

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さて、いよいよお待ちかね、こちらがWHYのホテルです!

コンセプトは"ゼロ・ウェイストアクション"。つまり、宿泊した人が滞在中ゼロ・ウェイストを実践する工夫がされています。

いったいどんな工夫なんでしょうか。

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まずは部屋の扉。WHY、WHY、WHY...

施設の名称がみっちりスタンプされていますが、スタンプを押されている紙は新聞広告で、特に大量消費を煽るような広告を使い、その上に「WHY」の印刷を施したそうです。

「なんでそんなにごみが出るものを作って売るの?」

なんて露骨に書かれているわけではないのですが、それだけに心に刺さりそうです。

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ホテルには歯ブラシやシャワーキャップといったごみになるアメニティはついていないので基本は持参する必要がありますが、忘れた人には竹製の歯ブラシが用意されているそうです。石鹸も希望者には提供されますが、この通り、必要な量をリクエストして持っていく仕組み。こんなふうに石鹸を受け取るのもいいですね。

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まるで部屋の中に木が生えているのかのような柱。木を丸ごと柱として活かすことで、ごみになってしまう枝を減らし、無駄なく活用しています。何かをひっかけてみたくなるのは私だけでしょうか。

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ちょっと疲れてきたところでコーヒーで一服。豆は飲む分だけその場で挽いてくれるそう。ということは、いつも挽きたての香り高いコーヒーが楽しめるということですよね! なんて素敵。サーバーは何度も使えるステンレス製。何度も洗って使える陶器のカップに、粉は密閉性のあるガラスの容器入り。コーヒーの出し方一つとってもゼロ・ウェイストスタイルにするとおもてなし度がぐっとUPしそうですね。


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ホテルの楽しみといえばやっぱりご飯。こちらはホテルの朝食例。地元の新鮮な素材を使った食事を陶器やグラスに入れて届けてくれるそうです。美味しそうなベーグル!

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宿泊者には、写真のような分別ボックスが用意されており、宿泊中に出たごみをそれぞれに分けて入れ、チェックアウトする際に、ごみステーションで分別の体験を行います。分類は紙類、生ごみ、飲料ごみ、プラスチックマークのあるプラスチック、プラスチックマークのないプラスチック、その他ごみの6分別。いきなり45分別は難しいのでまずは初級編、といったところでしょうか。それでもやってみるといろんな気づきがありそうです。

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上勝町の取り組みを上勝で終わらせない

「WHY」のオンライン見学報告は以上で終わりです。いかがでしたでしょうか。

「すごい!」と思う反面、「人口が少ない上勝だからできるんじゃないか」と思ってしまう方もおられるかもしれません。

これに対し、案内をしてくださった上勝町のブルワリー「RISE & WIN」の田中達也さんは「ごみはみんなが出すものなので大都市でもできることはあるはず。たとえばまだ使えるものをリユースする、くるくるSHOPを会社や大学につくることはできるのではないか」と提案されていました。

たしかに、
場所や期間を限定したりすれば実践できる機会はたくさんあるはず。すでに上勝町が取り組んでいることも、これからチャレンジしていこうとしていることも、「上勝だから」で終わらせるのではなく、それぞれにやり方をみつけ「My Kamikatsu project」ができるといいなあと思いました。


ちなみにどうしても個人や自治体の努力では減らせない「2割」のごみをどう減らしていくかについては、今後、企業や大学などのパートナーシップによって調査研究、実践をされていくそうです。
この「2割」は上勝町だけの課題ではなく、世界全体の課題でもあります。製品をつくりだす企業にはぜひ積極的に課題解決のプロセスに参加してほしいと思いますが、同時にカギとなるのは商品を購入し、使い、廃棄する消費者、私たちのライフスタイルや価値観ではないかと思います。その意味ではこの「2割」に消費者としても関心を持ち、かかわっていきたいものですね!


最後は、WHY HOTELの一室から。こんな景色を眺めながら朝食を食べればいいアイデアが浮かぶかもしれませんね。早く行ってみたいなあ.....

ではまた!

 

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参考リンク

英語タイトルですが中身は日本語です。

ZERO WASTE TOWN KAMIKATSU

KAMIKATSU ZERO WASTE CENTER

・今回のイベントの詳細(こちら

 

 

 

 

 

 

2020/07/22

上勝町ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学!(オンラインでね)その1

上勝町のゼロ・ウェイスト・センター「WHY」を見学!(オンラインでね)その1

先日、今年の5月30日(ごみゼロの日)に徳島県上勝町にオープンした、ゼロ・ウェイストセンター「WHY」を見学しました! といっても実際に行ったわけではなく、現地生中継で紹介してくれるオンラインイベント(主催 アカデミーヒルズ)を通しての見学だったのですが、IT技術のおかげで詳しく知ることができました。

ゼロ・ウェイストタウンで知られる上勝町は、90年代初頭、世の中がまだバブル絶頂期の最中にごみ問題の議論をはじめ、2003年には日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を出しました。

ゼロ・ウェイストとは「無駄、浪費、ごみをなくすという意味。出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方」(上勝町ウェブサイトより)。つまり、3Rの中でも最も優先度が高いReduce(ごみの発生抑制)を実践し続けています。

目標として「2020年までに焼却・埋め立てごみゼロ」を掲げてきたのですが、どうしても個人や一自治体の努力では処理できないものが「2割」残ってしまうことが課題となっています。残り「2割」の中身とは何か、そしてこの「2割」に上勝町が今後どうチャレンジしていこうとしているのか。「WHY」を探検しながらご紹介します!

(画像は動画のキャプチャになります。画像はブレブレですがご了承ください。なお、画像掲載は主催者に許可をいただいております)

 

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「WHY」は、「WHYという疑問符を持って生産者と消費者が日々のごみから学び合い、ごみのない社会を目指す」こと目的としています。

建物の形はユニークで、その名称を形にしたような、はてなマーク(?)の施設になっています。上から、ごみを収集・分別する「ゴミステーション」、町民がまだ使えるものを持ち込んで、必要な人は持ち帰りができる「くるくるショップ」(町民以外は持ち帰りのみ)、イベントができる「ホール」、大学や企業の「オフィス・ラボ」、そして宿泊施設まで完備された、ゼロ・ウェイストを学べる複合施設です。

施設をご案内くださったのは「WHY」を運営するビッグアイカンパニーCEOの大塚桃奈さんとゼロ・ウェイストの理念に基づいて上勝町でブルワリー「RISE & WIN」を2015年にスタートさせた田中達也さん。


まずは、ごみを収集・分別する「ゴミステーション」。上勝町はごみ収集がなく、町民が自分のごみを持参し、ここで分別します。その数45種類! 埋め立てや焼却ごみをなんとか減らしたいと思い取り組んだ結果、ここまで増えたそうです。(詳しく知りたい方は上勝町の資源分別ガイドブックへ。これをみているだけでもいろいろ考えさせられます)

「ごみ集積場といってもここはごみ特有の匂いがないんです」と大塚さん(オンラインでは残念ながらわかりませんでしたが...涙)。

というのも、上勝町では生ごみの回収はしておらず、各家庭でコンポストをしてもらっているそうです。上勝町の世帯数は約730世帯。全世帯で生ごみコンポストをしていると考えると驚異的です。(コンポストの購入支援は有)

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ガラスびん一つとっても色の違いで分かれています。

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実際に上勝町流45分別を体験してみることに。お題は、牛乳パック、レシート、ラーメンのカップ、使いかけの塗料が入った小瓶、化粧コンパクト、香水の瓶、乾燥剤。回収箱にはそれぞれ、回収コストが表示されています。たとえば、プラスチック容器は汚れていなければ+0.49円/kg、汚れていると-53.8円/kg。表示のおかげでプラスチック容器をきれいに洗う町民が多いそうです。

そして、塗料が入った小瓶、化粧コンパクト、香水の瓶、これらは埋め立てごみへ。乾燥剤は焼却ごみへ。これらが、上勝町の最後の難問、個人の努力では減らせない残り「2割」のごみに該当します。

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こちらは、リユースを実践できる「くるくるショップ」。まだ使えるけれども不要なものを持ち込める場所です(持ち込みは町民限定。持ち帰りは誰でもできます)

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もともと中学生のアイデアで生まれたショップだそうです。説明がなければどこかのセレクトショップかな、と思ってしまうおしゃれ感がありました。

持ち帰りの際は、重さを測って名称を記入します。こんな感じで、これまでにどれだけのモノがごみになるのを避けることができたかが表示されています(期間は不明ですが750kg)。

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もうお気づきかもしれませんが、この建物にはあちらこちらにごみとして捨てられるはずだったものが活用されています。くるくるショップのシャンデリアは3000本のガラスボトルを使用。受付デスクには一升瓶のケースを利用。まるでアップサイクルの見本市のようです。

これもアップサイクル。さて、どの部分がアップサイクルかわかりますか?

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答えは窓枠です。町民にいらなくなった窓枠を募ったところ、700枚も集まったそうです。過疎化が進む町では不要な窓枠も多くあったのかもしれません。

でもこうして使われることによって、町民同士が「あ、この窓は○○さんちのだ」と会話をするきっかけになったり、夜には明かりが灯り、かつての集落の賑わいを思い起こさせるモニュメントにもなっているそうです。素敵なストーリーですよね。

 

さて、こちらは交流ホールの窓。なんとなくステンドグラスのような素敵な窓(素敵に見えない場合は写真のせいです 汗)なんですが、これはあるものを活用しています。

さて、なんでしょう?  1.上勝町の間伐材   2.魚の網   3.キノコセンターのカゴ (「世界ふしぎ発見!」風に読んでください 笑)

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だんだん長くなってきて、くたびれて疲れてきたと思うのでこのへんで一休み(笑)。答えは次回ご紹介します♪