コラム

2021/07/25

ブルーフラッグビーチに行ってきました!

ブルーフラッグビーチに行ってきました!

2021年4月に海岸の国際認証「ブルーフラッグ」をアジア初民間取得した片瀬西浜・鵠沼海水浴場に行ってきました!

以前、ideas for goodでご紹介した(前編後編)今回の取り組み。取得後、海開きをするのは今年が初めて、ということで実際に行ってみるのを楽しみにしていました。実際に行ってみると......

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海岸に着くと早速看板に出会いました。「水質・環境教育」と「情報」「環境管理」「安全」の4つのカテゴリーのもと、33の基準を満たした海岸であることや歴史などが英日で紹介されていました。

昔はずいぶんごみが散乱していたと聞きましたが、歩いてもほんとごみは全くといっていいほど見当たらず、とても気持ちよく散歩できました。海の家がオープンする9時ごろには「店舗前のごみを拾ってください」というアナウンスが。定期的に清掃をすることによってごみのない綺麗な海岸が保たれているようでした。

喉が渇いたので海の家で一休み。ビーチでのかき氷は格別ですが、提供されている容器は使い捨てプラスチック。ごみの発生抑制、海洋プラスチック問題解決のためにも、リユース容器にシフトしてもらえればなあ、と思いました。水際で遊んだ後にシャワーを使ったのですが、備え付けの洗剤はどうやら合成洗剤。海のためにも石けんを使ってもらえたらなあ、とあれこれ期待が募るのでした。

ブルーフラッグビーチに行ってきました!


きれいで安心して楽しめる海。当たり前かもしれませんが、この当たり前を保つために、多くの人が安心安全の確保、水質の確保、さらには環境保全にも取り組もうと努力を重ねています。ブルーフラッグは取得をしてからがスタート。特に、片瀬西浜・鵠沼海岸は民間取得であることから、ボトムアップでの取り組みの展開が期待されています。今後どんな取り組みが生まれるのか、利用者としても楽しみです!

 

※写真撮影時のみマスクをはずしています。

注意:コロナ禍のため、遠方の方は状況が落ち着いてからお越しください。また訪問する際は、ルールを守ってご利用ください。

 

 

2021/07/07

生物多様性への関心を高める? アートの力

生物多様性への関心を高める? アートの力

キンセンガニ、キタマクラ、ヒイラギ、ハマシギ...

さて、これは一体なんでしょう。答えは茅ヶ崎に生息する生き物の名前。

先日、茅ヶ崎市美術館で行われた、アートワークショップ「もってけ!ちがさき!!〜シールラリーで巡る茅ヶ崎の自然とシャカシャカキーホルダー作り」に参加してきました。

企画をされたのは、東京造形大学の若見ありさ先生のゼミナールに所属する学生の皆さん。クイズを通して茅ヶ崎にどんな生き物がいるのかを学びつつ、最後に、茅ヶ崎の生き物(模型)とビーズなどを入れたシャカシャカキーホルダーをつくるというもの。

「ハマヒルガオの花の色は何色?」

「キタマクラが食べるのはクジラとヒトデのどっち?」などなど、クイズを通していろんな生き物が生息していることを知ることができました。

そもそも、キタマクラと言われても、それって虫? 花? 動物? 魚? と知らない生き物も。


でもどんな生き物が生息しているのかを知ることは生物多様性保全の観点からみるととても大切です。

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生物多様性には、生態系の多様性、種の多様性、そして遺伝子の多様性の三つがあります。
どんな生き物がどんなところでどう生きているのか、を知らなければ、その生き物の生態が危機的になったとしても気にもかけられないでしょう......。

生き物の名前を知って、さらには、その生き物がどんなところでどんな暮らしをしているのか、何を食べるのか、どうやって泳いだり歩いたりするのか、天敵は何か、どうやって繁殖するのか......興味を広げていくことができれば、私たちの暮らしとその生き物のつながりも見えてくるはずです。

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今回のワークショップは、コロナ対策をしながら楽しめるアートワークショップとして開発されたそうですが、生物多様性への関心を高めるツールにもなる可能性を感じました。

何より美術系の学生さんがつくられているだけあって、生き物の絵の緻密さと親しみやすさのバランスが絶妙でさすがでした! アートと環境。この二分野がコラボすると強力なワークショップができそうですね!

 

ちなみに、キタマクラは魚です。その名前の理由は...(こちら
キンセンガニはその名の通りカニですが、浜で歩くのはどうやら不得意なよう。形をみるとその理由がわかりますよ(こちら
最後にヒイラギ。これは植物のヒイラギではありません。何かというと...(こちら)これも形をみるとなるほど!だからこの名前なのね、と納得。

 

 

 

2021/06/27

生物多様性問題でもSDGsに貢献できる!

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1992年、地球サミットがブラジルのリオデジャネイロで開催されました。その時に、双子のグローバル条約が採択されました。

 

一つは、国連気候変動枠組条約、そして、もう一つは生物多様性条約です。双子の条約と言われています。気候変動問題と生物多様性問題は、グローバルな取り組みが必要な問題として同時にスタートしたのです。

 

2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議も、もうすでに10年前になります。ここでは、名古屋議定書、そして愛知目標(通称:愛知ターゲット)が採択されました。愛知目標は、SDGsに非常に類似するもので、SDGsは愛知目標を取り込んでいます。愛知目標は、2011年から2020年までが対象期間となっているため、2020年以降の目標は、2030年を期限とするSDGsに整合する形で、今年10月に行われる生物多様性条約第15回締約国会議で再設定される予定です。

 

今や1年に4万種もの生物が絶滅する大絶滅時代と言われています。生物多様性の損失は、すでに一線を超え、食物連鎖のピラミッドの土台にある、分解者である微生物のレベルでも種の絶滅が進んでいると言われています。しかし、「種の大量絶滅時代に突入しているといわれても、実感が湧かない!」という人は多いと思います。これが地球環境問題の特徴です。問題が深刻化し、取り返しがつかなくなった時に、我々の実感湧いてくるという「時差」があります。

しかし、生物多様性が破壊されつつある影響はすでに顕著になりつつあります。

たとえば、気候変動の影響により、生態的・環境的条件の変化が影響し、日本の本州にあったある酒蔵が、北海道に移動したと言うニュースを聞きました。また、オーストラリアの珊瑚の白化現象は、深刻そのもので、ノアの方舟のように、生き残っている種の保存を人工的に研究所などで行っています。

 

昨今のコロナウィルスも、人間の活動範囲と森林といった自然環境の距離が、乱開発等によって縮小した結果、本来、森の中にいたものが人の生息圏に出てきてしまった、と指摘されています。気候変動問題に取り組むだけではなく、生物多様性問題にも積極的に取り組まなくては、人類共通の未来は、落とし穴にはまってしまうかもしれません。SDGsにおいても、もちろん、生物多様性問題への取り組みに関する目標とターゲット群が用意されています。

 

最近、面白いなと感じている、生物多様性保全志向のサステイナブルなビジネスモデルがいくつかあります。そのうちの一つが、サステイナブルなワイナリーの取り組みです。オーガニックワイナリーをつくり、ビオトープ化した結果、ミツバチ、チョウ、トンボ等が帰ってきたり、レッドデータブックに記載されている希少種が生息を始めたりしていると言うのです。もちろん、CO2の吸収にもつながっています。ここで育ったワインは、国際ワインコンクールで金賞を受賞したそうです。

 

もう一つは、ある会社によるオーガニックコットン100%の衣類の取り組みです。

 

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オーガニックコットンは、農薬を使用しないため、畑に生息する生き物を守ることにつながります。また、栽培に従事する女性が農薬被害を被ること、生まれてくる子供の健康への悪影響を回避することにもつながります。そして、女性の就労機会の提供にもつながっています。この会社のプログラムでは、生産に従事する労働者の方々に対しても、ILOやIFCといった国際機関との共同で、ベターワークプログラムを実施し、人権面からの保障も行っていました。

 

さらに、古着を店舗で回収し、バイオエタノール化し、飛行機の燃料に使用することができるというサービスがついていました。また、オーガニックコットン製品の購入1点につき、オーガニックコットンの種2つを生産農家の方々に無料で提供するということです。

 

コットンは植物なので綿を育てることでCO2も吸収され、土壌の質も改善します。また、洗濯によってプラスチック汚染を起こすこともありません。使用によって古くなれば、もちろんお部屋の掃除の雑巾などに活用もできます。オーガニックコットンを通じて、経済的価値と社会的価値の好循環が生まれることと感じさせられました。

 

生物多様性問題も、ビジネスを通じて問題解決に貢献することが可能です。そして、エシカル消費者と手を携えることによって、SDGsに貢献することにつながっていくことが期待できます。

 

(SWAVE シニアアドバイザー 川本 充)

 

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2021/06/21

手前から取ってますか?

手前から取ってますか?

フードロスの半減はSDGs目標12のターゲットの一つでもありますが、なかなかすぐには解決できない難しさがあります。その一つが私たち消費者の消費行動。「商品を後ろから取る」という消費者にとっては何気ない習慣によって、スーパーなどの小売業界で多くのフードロスが発生しています。

そこをなんとか解決しようと消費者庁、農水省、環境省が「てまえどり」キャンペーンをスタートしたようです。たまたま週末、コンビニでみつけたのでパチリ。

こんなことで何か変わるの? と思われる方もおられるかもしれませんが、コープこうべが、2018年に、商品を手前から取ること、値引き商品の積極購入を呼び掛ける「てまえどり」キャンペーンを実施した結果、前年比、約15%削減することに成功。また、アンケートでは、82%がキャンペーンを「よい取り組み」と好意的のとらえ、それでも「新しいものを選びたい」という方は約9%だったそうです。

 

ある調査によると、食品を陳列の棚の奥から取る人はなんと88%*1にもおよぶということですから、この9割近くの消費者の行動が変われば......かなりのフードロスが防げるのではないでしょうか。

今後の進捗とスーパーなどへの広がりに期待です! 

 

 

*1 食品ロス問題ジャーナリスト 井出瑠美さん調査による(対象2411人)


<参考>
てまえどりキャンペーンについてはこちら

井出瑠美さん
「てまえどり」すぐ食べるなら手前からとってね!食品ロスを減らすコープこうべと行政の連携

2021/06/13

あれから28年 気候変動とSDGs

あれから28年 気候変動とSDGs

もう、28年になります

1992年に気候変動枠組条約が採択されてから、既に28年! 京都議定書の採択から、早いもので、23年の月日が経ちました。1997年当時、学生だった筆者は、そのころから、社会の様子をずっと観察し続けてきました。

 

気候変動枠組み条約が採択された1992年にはリオ・サミットも開催され、2002年にはヨハネスブルクサミット、2012年にはリオ+20が開催されてきました。このグローバルな潮流の始まりは、1972年のストックホルム人間環境会議に遡るので、地球環境に関するグローバルな取り組みは、かれこれ48年、半世紀近い月日が流れています。

 

 

「気候変動」というより「気候危機」

 

この間、何が変わったかというと、気候変動の影響が現実のもとなっている、という事実です。

 

台風の発生の頻度が増えたり、一時的な雨量の急激な増加、珊瑚礁が白化したり、大規模な火事等が起こったりしているだけではなく、人々が豊かに生活する機会そのものを奪われ始めています。これまでに排出され、放置されてきた温室効果ガス濃度の高まりによって引き起こされる環境変化によって、人々の人権が侵害されている事態となっています。

 

京都議定書の後継のパリ協定は2015年に採択されました。また、同じく2015年には、SDGsも採択され、その中には気候変動への取り組みの目標も含まれています。

 

そして、2021年春、大国であるアメリカ政府が「2050年に実質ゼロ」を打ち出しました。そして、日本政府も「2050年に実質ゼロの高みに挑戦する」との旨を打ち出しました。まさに、政治の流れが変わった瞬間でした。

 

しかし、どのような方法でそれを実現するか、については、まだ明確化されていません。ただ、この政治的約束は、気候危機を乗り越えていくには欠かせないハードルであると言えます。これを受けて、日本のビジネスの競争条件も気候危機を乗り越えるためのものへと変わっていくでしょう。

 

ESG投資も、投資の条件に温室効果ガス削減を掲げたケースがほとんどです。エシカル消費においても、気候危機への対処は主要なテーマの一つであると言えます。これらは、パリ協定との相乗効果が期待されています。これからビジネスを優位に展開していく条件として、ビジネスによる気候危機への着実な取り組みとその社会発信は欠かすことができないものとなってきています。

 

 

「2050年に実質ゼロ」でも心配ごとがあります

 

しかし、まだひとつ、心配事が残っています。気候の変動の影響は、不可逆的と考えられています。つまり、温室効果ガスの排出を今すぐにゼロにしたとしても原状回復は難しいということです。さらに2030年を超えると、気候の変動影響が大きくなり、挽回が難しくなる、と考えられています。

 

そのためでしょうか、米国の先進的な企業には、2030年までに実質ゼロを宣言したり、過去の排出分にまで遡って削減すると宣言するという企業が現れています。2050年までに実質ゼロという目標は科学的に正しいとされています。しかし、2030年までにできる限りのことをしなければ、「我ら共通の未来」は、気候変動による悪影響が勝る未来になりかねません。

 

ビジネスを通じて、気候危機への対応をはかり、利益を生むビジネスモデルが、今まさに求められていると言えます。

(SWAVE シニアアドバイザー 川本 充)

 

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