コラム

2022/01/04

サスコミュラボはじめます!

サスコミュラボはじめます!

新しい一年がはじまりました。

今年もコロナの影響に気を揉むスタートとなりました。医療関係者などエッセンシャルワーカーのみなさんを思うと心配と感謝の気持ちが入り混じります。ただ、この数年の間に、多くの人がこれまで「当たり前」と思っていたことをみつめ直し、コロナ禍がサステナビリティへの関心を大きく押し上げる機会になっていることは大きな変化であり、今後、サステナビリティを加速させる力にしていかなければならないのではないかと感じています。

さて、今年は春に、生物多様性条約第15回締約国会議(後半)が中国で開催され、いよいよ「ネイチャー・ポジティブ」、つまり、自然を単に回復させるだけではなく、よりよい状態にすることが世界スタンダードになりそうです。

折しも、昨年は海と森のサステナビリティに関するコミュニケーションデザインをサポートさせていただきました。これまでに環境NGOや企業などで得た知見を活かして、よりよりエンゲージメントがはかれるよう支援をさせていただくことは、私にとってこの上ない喜びです。今年も、さらに、多様なセクターのコミュニケーションサポートができるよう精進していきたいと思っています。

その一つとして、今年、「サステナビリティを高めるコミュニケーション」に関する調査研究(通称:サスコミュラボ)をスタートしようと思います。国内外を問わず、なるほど!と思うようなコミュニケーション方法はたくさんあります。特にサステナビリティの分野だからこそ、ポイントになるコミュニケーションのコツがあるのではないかともっています。文献だけにとどまらず、できればインタビューもしながら、その内容をみなさんと共有していきたいと思います。

今年一年が、皆様にとりましてよい一年となりますよう、また、コミュニケーションを通じて、サステナビリティがさらに加速する一年になることを祈念しつつ、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

 <昨年の主な実績について>
・【海】サステナブルシーフードを推進する株式会社シーフードレガシーにおけるBtoB広報のご支援
・【森】いただいた分だけ森のお返し 北海道産木材を使用したエシカルインテリアブランド「ikumori」立ち上げのコミュニケーションご支援(詳細
・【森】ウータン・森と生活を考える会 広報基盤づくりのご支援
ideas for goodにてサステナビリティに関するライティング

 

TOP photo:新年の富士山。昨年、アジア初民間としてブルー・フラッグを取得した江ノ島ビーチから。いつもより大きく、くっきり見えました。気持ちが晴れ晴れしますね! ブルー・フラッグ取得について詳しくはこちら

 

2021/12/29

生物多様性戦略を展覧会で伝える

生物多様性戦略を展覧会で伝える
2021年最後のライティングはこちら。

 

世界的ラグジュアリーブランド、ケリング・グループの生物多様性戦略について、2021年11月26日(金)から28日(日)まで、東京・表参道ケリングビルにて行われた、展覧会「Fashion & Biodiversity:ケリングと共に考えるファッションと生物多様性」をご紹介しつつ、解説しました(リンク)。

 

企業の戦略紹介といえば、文字やグラフがいっぱいのパネルがずらりと並ぶイメージが浮かびますが、今回、ケリングが選んだ紹介方法は「展覧会」。アートを見るような感覚で、よく抽出された情報だけをインプットしていく感じがとても心地のいいイベントでした。

 

展覧会を通して一番感じたことは、ケリングが「服は生き物からできている=生き物および生き物が生きる地球が健全でなければケリングの存在はありえない」と真剣に捉え、取り組みをはじめている点です。包括的で専門性の高い戦略、目標、実行計画からもその本気度が伝わってきました。

 

ようやく、気候変動と同時に生物多様性への取り組みも求められる時代になってきました。日本のブランドから今後どんな生物多様性戦略が打ち出されるか。今後、楽しみにすると同時に、さまざまなステークホルダーにその戦略をどう共有していくのか、注目していきたいと思っています。

 

今年一年、多くの皆様にお世話になりました。
来年は、皆様にとっても地球にとってもさらによい年になりますように。どうぞ良いお年をお迎えください。

2021/12/15

中の人と共に

中の人と共に

昨日は冷えました。寒くなると恋しくなるのがチョコレート(私だけ?)。最近は写真にあるレインフォレストアライアンス認証付きのチョコがお気に入り。仕事の合間にほっと一息しています。

このチョコレートは日本生協連さんのプライベートブランドなのですが、2021年の春から、環境や社会に配慮した原料を使った商品に共通のロゴマークを付け、「コープサステナブル」としてシリーズ化されました。たとえば、FSCやRSPO、MSCやASC、有機JAS認証を得た商品などにつけられています(詳細はこちら)。同じマークをつけることによって、注目度、認知度を高めよう、という試みです。

先日、この取り組みをリードされた方のお話をうかがう機会がありました(詳しくはこちら)。「認証を得ている商品に共通ロゴをつける」だけ、と思われるかもしれませんが、関係者の理解や賛同を得たり、該当する商品を確保したり、ロスが出ないように商品の切り替えの工夫をしたりとさまざまな課題を乗り越えながら実現されていることがわかりました。

仕事柄、サステナビリティにかかわる取り組みの「中の人」のお話をうかがう機会が増えました。周りからみるとささやかな取り組みでも、コストはもちろん、会社や関係者の方の理解や賛同、業界の習慣などさまざまな壁を乗り越えるのに苦労されていることがほとんどです。最近では、サステナビリティにかかわる商品や取り組みをみると、きっと「何かしたい」「なんとかしたい」と思う「中の人」が奮闘して実現したんだろうなあ、と思うようになりました。

 

中には?と思うものや「もうちょっとこうだったら...」と思うものもありますが、単に批判をするのではなく、少しでもよい方向に向いていくよう、想いを実現できるよう、知恵を絞り、汗をかきながら一緒に舟をこいでいく、そんな時代になりつつあるような気がします。

 

 

 

 

 

 

2021/11/09

チョコに季節あり。その理由は...

チョコに季節あり。その理由は...

さつま芋に栗、みかん...秋においしい食べ物は多くありますが、私にとってはその一つがフェアトレードブランドの代表格、ピープルツリーのチョコレートです。

え?チョコレートって年中あるのでは?と思われるかもしれませんが、ピープルツリーのフェアトレードチョコは純粋なココアバターを100%使っており、これが30度前後で溶け始めるため、暑い季節は販売できないのです。

ピープルツリーのチョコが季節限定であることを知ったのは、オーガニックの食品会社で商品企画をしていた時のことでした。「チョコの季節になりました」と担当の方からお知らせをいただいたのですが、当時の私も、チョコは年中食べられるものだと思っていました。知って納得。それ以来、店先でみつけると「秋になったなあ」としみじみします。ちなみに今年の入荷は10月下旬だったそうです。

素材を変えて、年中販売する方法もあったのかもしれません。でも、素材のこだわりを譲らず、あえて期間限定商品にしたからこそ、商品価値もあがり「こだわり」を大切にできたのではないでしょうか。

さて、このピープルツリーのチョコレートは包み紙の裏側にはいろんなメッセージが書かれています。フェアトレードとは、その意義、原材料のこだわり。何度も見ているはずなんでが、毎年、このうんちくを読みながらあったかい紅茶を入れて、ゆっくりとチョコを楽しむのが秋の楽しみです。

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それにしてもピープルツリーのチョコレート、昔は自然食品店など一部に限られていましたが、最近ではアパレルや雑貨店など本当にいろんなところでみかけるようになりましたね。雑貨にまじっても遜色ない、おしゃれなパッケージが効果を発揮しているような気がします。

表はおしゃれに。裏面はしっかり、フェアトレードのことを伝える。敷居は低く、一度足を踏み入れてもらったらしっかり伝える。伝え方のステップにもなるほど!です。

そんなことを考えながら食べているとついつい食べ過ぎてしまいました(汗)。

みなさまもどうぞ素敵なティータイムを。

 

 ピープルツリーさんのチョコレート特設サイトはこちら

 

 

 

2021/10/23

おでんとサステナビリティ その心は

おでんとサステナビリティ その心は

おでんの美味しい季節になりました。
我が家はおでんが大好きでこの時期になるとよくつくります。大根やこんにゃくにしっかりと出汁を染み込ませることができた時にはもう最高です!

今日はそんなおでんにも通じるお話。

先日、子どもの学資保険でお世話になっている某保険会社さんが我が家を訪れました。サステナビリティを生業とする私としては、昨今のESG投資の動きを探らないわけにはいきません。

私「保険金の運用はESGに配慮した運用をされているんでしょうか?(していることを知りつつわざと質問)」
保険会社の方「しているとは思いますが、末端の私たちにはよくわかりません。サービスに関する情報であればわかるのですが、そこまでは分かりかねます」

よくある回答とは思いつつも、改めて二つのこと思いました。

まず一つ目は、サステナビリティに関する情報は、まさに「商品・サービスに関する情報」である、ということ。どこでどうつくられ、環境や社会にどんな負荷がかかっているのか、その負荷をどう減らそうとしているのか、といった内容は、商品の価格や性能と同じく「商品・サービスに関する情報」であり、消費者に伝えるべき(もしくは聞かれたら答えられるようにしておくべき)情報です。企業でしかるべき立場におられる方には、ぜひこの認識をアップデートしていただきたいと思いました。

その上でもう一つは、「末端の人」まで商品・サービスにかかわるサステナビリティの情報を伝えられるようにすることが重要である、ということ。業態にもよりますが、販売員や営業は末端ではなく、むしろ日々お客様に接する、「最前線」の人です。ですので、この最前線の人にまでいかにサステナビリティの取り組みを浸透させるか、「しみわたらせるか」(ここでおでん話に結びつく!)が、取り組みの成功のカギを握っているといっても過言ではないのではないでしょうか。

私はよく、買い物をする際、販売さんによく商品に関するサステナビリティの質問をします。たとえば家電販売店であれば、省エネ性能やリサイクルのサービスなどについて、スーパーであれば、認証ラベルやサステナビリティを訴求する文言について。

しかし、残念ながら「最前線」の人から的確かつアトラクティブな答えが返ってくることはなかなかありません。大企業になればなるほどその傾向は強いように思います。消費者目線でみるとこの状況は不満であり、厳しくいうと「知る権利」が確保されにくい状況、といえますが、企業目線でみると「もったいない」の一言につきます。


サステナビリティの取り組みの多くは消費者の共感や協力が必要であること、また、昨今のサステナビリティへの関心の高まりをふまえるとファンを増やす貴重なチャンスを日々失っていることになります。

もちろん、「最前線」のスタッフに、取り組みを浸透させるのは並大抵のことではないと思います。ですが、パズルの最後のピースのように重要なコミュニケーションポイントのはずです。

味のよくしみたおでんのような、サステナブルトークに出会いたい。そんなことを思うおでんシーズンです。

 

 

 

 

 

 

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