コラム
2023/11/28
広報って何?
忙しさにかまけてブログの更新を怠っている間に今年も残すところあと1か月になってしまいました。今年もさまざまなサステナビリティ情報伝え続けた、ありがたい一年でした❤️。
お仕事の報告はまた改めてするとして、先日、11月25日に行われた、環境活動パワーアップ講座で「広報とは?」というお話をさせていただきました。
みなさんは「広報って何?」と聞かれたらなんと答えますか?
今年、2023年6月に日本広報学会が約2年の議論を経て、新しい定義を発表しました。それがこちら。
組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。
講座でもお話したのですが、この定義のどこにも「メルマガを出すことです」「SNSで発信をすることです」「チラシをつくることです」などとは書いてありません。
PRプランナーの試験テキストである社団法人日本パブリックリレーションズ協会 編「広報・PR概論」に書かれている定義はこちら。
企業、行政、学校、NPO等あらゆる組織体が、その組織を取り巻く多様な人々(ステークホルダー:利害関係者)との間に継続的な“信頼関係”を築いていくための考え方と行動のあり方である
いずれにしても、具体的な作業が書かれているわけではありません。
比べてみると、最近つくられた日本広報学会の定義は昨今の事情をより踏み込んで表現してありますね。SNS事情を反映して「個人」が発信者として加わっていたり、「目的達成や課題達成」といった「何のために」という目的が加わっていたり、コミュニケーションにも「双方向」性が明記されるなどなど、実行する上でも押さえるべき要素が入っています。そして何より、広報は「社会的に望ましい関係」をつくるための「経営機能である」というところがポイントです。
つまり、SNSを発信したり、ウェブを更新したり、といったことは広報の手段であって、めざすべきところは「何らかの目的のために、社会的に(ここも大事)いい関係をつくること」であるということでしょう。こう考えると、広報の可能性はぐっと広がりますね。
企業、組織においては、「人事機能、マーケティング機能、販売機能、財務機能などと並ぶ*」機能であるという点も、何かと軽んじられがちな広報の位置付けを指摘する重要なポイントだと思います。
定義というと堅苦しい感じもしますが、私はいつもこの定義を見返す度に、「だったらもっとできるかも!」と可能性を感じます。
これからもこのワクワク感を大切にしながら、広報にたずさわっていきたいですね。
*日本広報学会ウェブサイトより引用。ウェブサイトの解説もぜひご覧ください。
2023/09/10
メッセージも熱々で
やっと虫の音が聞こえる季節がやってききました。酷暑の夏、いかがお過ごしでしたか。
暑いというよりも焦げるような暑さでしたね。私は、と言えば、暑さにくたびれがらも、猛暑の原因となっている、気候変動、環境問題を少しでもなんとかせねば、と気持ちを奮い立たせて秋のリリースに向けて準備に邁進した夏でした。
さて、そんな忙しい最中であっても忙中閑あり。先日の日曜日、早朝の大原の朝市に行ってきました。お目当ては、澄んだ秋空を眺めながら平飼い卵かけご飯を食べること❤️。生卵はあまり好きではないのですが、ここのは時々無性に食べたくなって出かけています。
もう一つのお目当ては朝市。農家のみなさんが無造作に並べている野菜たちにはスーパーに並んでいるものとは違った野菜の香りがあって、見ているだけでも生気が養われるように感じます。今回は、赤色の万願寺がちょうどシーズンを迎えたようでたくさん並んでいました(ごめんなさい、写真はバターピーナツ...です)。
「どうやって食べるんですか?」「オリーブオイルと塩でグリルしたり、マリネにしたり、パエリアにしたりするんです」
農家さんとシェフと思しき人たちの会話を盗み聞きするのも楽しみの一つ。聞いているだけで垂涎です。
ぷらぷらしていると、スムージーを販売しているお店がありました。美味しそうだなあ...と思ってみていると「僕たちの想いや取り組みが書かれているのでぜひ見てください!」と若いファーマーのお兄さんからパンフレットを手渡されました(写真下)。爽やかな笑顔といい、熱い一言添えて渡すその姿勢といい、なんて素敵!
仕事がら、パンフレットのみならずクリエイティブをつくる機会は山のようにあるのですが、メッセージを伝えたい相手に伝える際の熱が落ちてしまっているのが気になることがあります。つくりこんだクリエイティブをみながら「もったいないなあ。つくった人は思いを込めたんだろうになあ」と同情してしまうことも。
いや、そうなってしまう事情や気持ちはわかります。つくった人と渡す人が別だったり、意図が共有できていなかったり、渡すシーンのつくりこみまでできなかったり、疲れたり...。でも、できれば、最後の最後までできたてほやほや、熱々の状態でメッセージを渡したいですよね! 赤万願寺でつくった、目にも鮮やかなパエリアのように。
さあ、イベントやリリースが目白押しの秋がやってきます。熱々のメッセージを届けられるよう、がんばっていきたいと思います!
みなさんも素敵な秋を。
2023/07/08
羽毛リサイクルをしてみると
暑い季節ですが、今日は冬物の話です。先日、どうしても着なくなった羽毛のジャンバーをリサイクルに出しました。「羽毛ってリサイクルできるの?」と思っている皆さん。朗報です。これができるんです!
「Green Down Project」という回収の仕組みがあり、回収した羽毛製品を解体、洗浄し、製品化して販売しています。解体作業は障がい者を雇用して行われ、障がい者雇用の促進にも貢献。再びジャケットなどの製品として生まれ変わり、販売されます。
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清潔さなどを気にされる方もおられるかもしれませんが、JIS基準以上の高い清浄度を設定しており、とてもきれいな状態で再製品化されます。気になる回収場所はこちら。ぜひお家にいらなくなった羽毛製品がある方は持参してみてくださいね。
私が持ち込んだのはURBAN RESEARCH DOORS。持参すると定員さんがすぐに「あ、リサイクルですね」と気づいてくれました。羽毛製品の持ち込みはありますか?と尋ねると「結構ありますよ」とのこと。「まだ使えるものを捨ててしまうのはほんともったいないですよね」としばしリサイクル談義。いろいろ話をしながら、店員さんにまで取り組みの意義や内容がちゃんと浸透していることに感心しました。
最近、さまざまな組織がサステナビリティの取り組みをしていますが、取り組みの意義や内容の浸透が上層部だけにとどまっており、店員や社員にまで伝わっていないがことがよくあり、もったいないなあと思うことがよくあります。
特にBtoCの場合は、店員が取り組みの意義をちゃんと把握し、お客様に伝えられるかどうかはとても重要です。お客様が理解、共感することで、取り組みの拡大や継続につながります。お客様の理解共感が得られなければ、最悪、せっかく立ち上げた取り組みが継続できない、という事態にもなりかねません。
モノによっては、商品のパッケージで伝えるということもあるかもしれませんね。どんな媒体であれ、コミュニケーションループの最後まで気を抜かずに、お客様とのコミュニケーションを大切にしてくださいね。
Green Down Projectについて詳しくはこちら
2023/06/19
手仕事で気づくこと
突然ですが、忙しい時に限って...手間のかかることをしたくなってしまうことってありませんか。
今回、現実逃避的に私がやり始めてしまったのは「らっきょうづくり」。大人になって好きになったらっきょう。いつか自分でつくってみたいな、とずっと思っていたんです。そんな時、良さそうな低農薬の土らっきょうに出会ったのが運の尽き。
まずは、外側の薄皮を剥いていくのですが、これがなかなかの手間。最初は皮が剥けるかんじに妙なやりがいを感じていたものの、だんだん飽きてくる始末。そんな時にちょうど6歳児(娘)がやってきたので、早速手伝ってもらうことに。「らっきょうの皮って面白いねー」と盛り上げてみたのですが、30分もすると「ママ、飽きたからやめてもいい〜?」と早々に去っていきました。
その後、さらに30分ほど、黙々と一人で皮剥きをするハメに...。皮を剥いたら、土を落としながら洗って、傷んだものを取り除き、根っこなどをカット。 いや、なんて手間がかかるんだ...。 でも、作業をしながらいろんな疑問が湧いてきました。
まずは、スーパーで買ったらっきょうの甘酢漬け。よく考えたらなんであんなに大きさが揃っているんでしょう。皮を剥いているとわかるんですが、らっきょうはの大きさは本当にさまざま。同じ大きさに揃えようと思ったら「規格外」だらけになってしまいます。大量生産をする場合はやはり大量の規格外品が捨てられているんでしょうか。
そしてこの手間のかかる作業を一体誰がしているのでしょう。皮はそう簡単には剥けません。爪でちょっとひっかけながら、分厚めの皮はもう一枚剥いて、とよく注意をはらいながら作業をしなければならず、ぼーっと無意識でできるような作業ではありません。もしかすると薬品につけて剥いてしまっているのでしょうか(みかんの缶詰の皮は薬品で剥いていると聞きます)。作業をしている人はちゃんとお給与をもらえているんだろうか。休み時間はあるんだろうか...。ついついいろんな心配事が頭を過ぎります。
農産加工品は、収穫したり、皮を剥いたり、種をとったり、なかなか機械では担えない作業が発生します。時にはそこに児童労働が使われることもあります。でも、自分の娘を見ていて思いますが、子どもは本来飽きっぽく、同じ作業を、しかもたいくつで、時にしんどい作業を何時間を黙ってやるような存在ではありません。もしさせようと思ったら、よほど精神的、肉体的に強制しない限りはやらないのではないかと思います。らっきょの薄皮を剥きながら、ふと、重いカカオの実を運ぶ子どもたちのしんどさを思い浮かべたのでした。
ぷりっと白く光るらっきょうはまるでお風呂にでも入ってこざっぱりしたあの感じ。あとは、塩をまぶして一揉みしたら、一度沸かして冷やした水を入れて1週間。そこからさらに甘酢につけること1週間。できあがったらカレーをつくらなくちゃだなあ。
下ごしらえは2時間ほどかかりましたが、日頃机上で考えがちな環境、社会問題の根本をつかむ貴重な機会になった気がします。
何より、手を動かすのはやっぱり楽しい。本当は、何人かで仕事歌でも歌いながらやると楽しいんだろうなあ。
次は何をつくろうかなあ。現実逃避の旅は続く...笑。
2023/04/24
FabCafe Kyoto Photo tour
新緑の季節。いかがおすごしでしょうか。
3Dプリンタに自動?刺繍機械。何やら面白そうな機械が並んでいます。ここは「FabCafe Kyoto」。
「FabCafe」は大量生産やマーケットの論理に制約されない「FABrication(ものづくり)」と「FABulous(愉快な、素晴らしい)」の2つの意味が込められたクリエイティブスペースとして2012年に東京で誕生しました。その後、ホンコンやメキシコなど14拠点(2023年5月現在)に広がり、多くの人がものづくりを楽しんでいます。
先日、縁あって「FabCafe Kyoto」の中をご案内いただきました。
築約120年の木造建築をリノベーションしてつくられた建物は、まさに温故知新。古いものと新しいものが混じり合ったわくわくする空間でした。
ということで、今回は写真でFabCafe Kyotoツアー!
まずはこちら。品よく輝き、ほどよい存在感を放つ柱。巻いてあるのは西陣織の端材。裏返しにしてあるんだそう。
こんな座布団もつくれちゃいます。これは締め切り前におすすめの「お尻に火がつく座布団」だそうです。私の場合、しょっちゅう必要になりそう......
もう一つこんな座布団も。高性能な刺繍機がいかされてますね。
土壁をわざとみせる仕掛けも。仕上げてしまうと中がみえなくなるのでガラス張りにして中を見られる部分を残したのだそう。構造や素材が見えると「つくり方」のイメージが湧いて、ものづくりのインスピレーションになりそうですね。
こちらは、ユニークな素材を集めた箪笥。左上にある帽子は、話題のキノコレザー! 他にも、魚の皮を使ったレザーなど面白そうな素材がたくさん。箪笥も古いものをアップサイクルしている点に注目。表面をアクリルにした点がポイント。中が見えるのでつい気になって開けたくなります。
こちらは扇風機...ではなく、扇風機をリメイクした楽器だそう! どんな音がなるんでしょうね。
FabCafe Kyoto Photoツアーいかがでしたでしょうか。見ているだけで、「私も何かつくってみようかな」と思わせてくれる不思議な空間でした。
「いろんなモノがコミュニケーションのきっかけになれば、と思って設置している」。
ご案内してくださった方の言葉が心に残りました。確かに何度も、「これは何からできているんだろう?」「どうやってつくったの?」「何をするもの?」と話したくなりました。モノを通じてコミュニケーションを生み出す。こだわってつくられているモノだからこそできる技なのかもしれませんね。
思えば最近は、モノは「買う」ことがほとんど。自分でつくることはとても少なくなりました。その結果、モノとじっくり向き合うことなく、大量生産、大量消費、大量廃棄社会が生み出されているといっても過言ではないように思います。まずは自分で何かをつくってみる。そんなことが案外、この社会の作り直しには大切なのではないか。そんなことを考えさせられた Fab Cafe Kyotoツアーでした。
何より、今回感じたのは、ものづくりのワクワク感! 幼稚園や小学校の頃、時を忘れて工作に没頭した、あの感じです。時間や手間がかかっても、出来上がったものがへぼぴいでも!やっぱり自分の手を動かすって楽しいし、出来上がったものは愛おしい(笑)。
まずは、シンプルにそんな感覚を思い出すところからはじめたいですね。
Fab Cafe Kyotoについてはこちら
*トップの写真は、FabCafe Kyotoの2階からの眺め。東西にお寺があり、ほっとする眺め。