コラム

2022/08/09

大阪・関西万博 「持続可能性に配慮した調達コード」公開されました

大阪・関西万博 「持続可能な調達ワーキンググループ」メンバーになりました

2025年、大阪の夢洲(ゆめしま)で開催される大阪・関西万博。
開催にあたって調達される、さまざまな物品の持続可能性を高める上で重要になるのが調達コードです。

私は今回、2022年7月から、日本消費生活アドバイザー・コンサル タント・相談員協会(NACS) 食生活委員会 委員として、この調達コードを検討する「持続可能な調達ワーキンググループ」メンバーになり、パーム油、水産物、農産物に関する議論に参加しました。

そして、2023年7月に、調達コードが完成し、公開されました。(こちら

万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。残念ながら、現世代、将来世代、さらには多くの生き物が「輝ける」コードになったとは胸を張って言い難いものがありますが、これが日本の「現在地」であり、ここから進展させられるかどうかは、私たち一人ひとりの努力にかかっているのだと痛感しました。

まずは、このような貴重な機会をくださったNACSの皆様に深く感謝しつつ、もし次回、日本として調達コードを示す機会に恵まれた際には、もっとよい結果が生み出せるよう、日々の努力を続けていきたいと思います。

 

  • 日本消費生活アドバイザー・コンサル タント・相談員協会 についてはこちら

 

2022/07/23

お祭りに見る 元祖リユース

お祭りに見る 元祖リユース

夏祭りの季節になりました。皆さんの地域でもさまざまな夏祭りが行われているのではないでしょうか。 京都の夏のお祭りといえば祇園祭。千年以上の歴史を誇る日本三大祭の一つで、疫病退散を祈願するお祭りでもあります。

今年は特に三年ぶりの巡行とあってまちの人の熱気も例年に増して熱く感じられました。祇園祭は歴史があるだけに何度みても、毎回新たな発見や感動があり、興味は尽きません。今回関心を持ったのは「縄がらみ」と呼ばれる、釘を使わず、部材を縄で固定して組み立てる工法。理由としては、釘で留めてしまうと、車輪などの動きに幅がなくなり、動かしにくく、木材が割れてしまったりするため、と言われています。縄の結び方マニュアル、なんていうものはなく、伝承で受け継がれてきた、というのも驚きです。結び目も、それぞれの山や鉾で「海老結び」「鶴・亀結び」などのこだわりがあるそうです。見た目の意匠性にも見入ってしまいますね。

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飾り付けがされると中は見えにくいのですが、縄でしっかりと固定されています。大きなものは10トンを超えるとか。そう考えると縄の固定だけというのは驚きです。

 

お祭りが終わると結び目を解いて、木材を分解。木材は保管され、また次の年に使われます。そう考えると元祖リユースともいえそうです。特に、祇園祭の場合、釘を使わず、縄で固定しているだけなので、コンパクトに片付けることができ、長く使えるのではないないか、と推察しました。

祇園祭に限らず、地域の伝統的なお祭りには何かしらモノを大切に使ったり、自然とのつながりを大切にするような、つまり、サステナビリティを大切にするヒントが多くあるように思います。温故知新。お祭りを楽しみつつ、古の人々の知恵に学ぶ機会にしていきたいものですね。

2022/07/02

スタッフの再エネシフトを支援する意義3

スタッフの再エネシフトを支援する意義3

猛暑が続いていますが皆さん元気にお過ごしでしょうか。 電力ひっ迫に関するニュースが連日報道されていましたが、だからといって火力発電や原発に回帰するのではなく、今こそ改めて再生可能エネルギーにシフトすることは言うまでもありません。 

そこで今回は、企業が再生可能エネルギーへのシフトを後押しするおすすめの取り組みをご紹介します。 それは、「社員等に再生可能エネルギーへのシフトをすすめること」です。

私は、IDEAS FOR GOODというウェブメディアのライターもしているのですが、このメディアを運営するハーチ株式会社が6月から業務委託パートナーに対し、再エネ100%の電力を使用・導入している場合、電力の一部を補助する取り組みをはじめました。 企業単位で再エネ電力を選択している会社は増えつつありますが、さらに一歩進んで社員や事業委託スタッフの再エネを支援することにはどんな意義があるでしょうか。

まずは環境負荷の低減。一般家庭のCO2排出量の約半分は電気由来。ですので、再エネ由来の電気にシフトするだけで単純にCO2をおよそ半減することができます。つまり、スタッフが再エネ電気にシフトすればするほど...CO2は大幅に削減できます。

次に、教育効果。再生可能エネルギー100%の電力を提供する会社は多数あります。再生可能エネルギーにはどんな種類があるのか、どこでどう発電しているのか、それぞれの会社が思い描く社会ビジョンやメッセージをみながら選別していくだけでも、エネルギーについて考える重要な機会になるでしょう。そのプロセスで得た視点や知識は仕事をすすめる上でも役立つはずです。

最後は、企業価値の向上。今や企業の環境や社会に配慮した取り組みは当たり前ですが、その項目の一つとして自ら再生可能エネルギーにシフトをするだけではなく、社員や業務委託スタッフにまで広げて再エネを推進していることはより付加価値のある取り組みとして社会に評価されることでしょう。

スタッフの再エネシフトは、当事者の家族や友人、その人たちが働く組織のエネルギー選択にも影響を与えるかもしれません。そう考えると、波及効果も期待できますね。

スタッフの再エネシフト支援は、大がかりな設備も、大規模な資金もいりません。2050ネットゼロに向けた次の一手としてぜひ、みなさんの組織でも導入してみてはどうでしょうか。



<参考>
パートナーの皆さま向け「再エネ100%電力補助」をスタートします

電力会社の選び方のコツはこちら(リンク

 

2022/06/14

「声なくして人を呼ぶ」 その心は

「声なくして人を呼ぶ」 その心は

梅雨の季節になりました。雨の季節は考えごとをするにはもってこい。ということで、今回は「PRせずにモノを売る」を考えたいと思います。


広報PRを生業にしている私が「PRせずにモノを売る」なんていうことをテーマにすると、自らの首を絞めるような感じがするかもしれませんが(笑)、果たしてどうなんでしょう。

 

こんなことを考えはじめたのは、先日、創業500年以上、350年以上にわたって皇室にお菓子を納めていた和菓子屋「川端道喜」さんの家訓、


「声なくして人を呼ぶ」

について書かれた記事を読んだことがきっかけです。つまり「宣伝はするな」ということなんだそうです。
 

「宣伝せずにモノを売る」。宣伝しなくてもモノが売れるんだったら苦労しないよ!、なんていう声も聞こえてきそうですが、どうすればそんなことが可能になるでしょうか。

考えをめぐらせているうちにもう一つ素敵な記事に出会いました。風で織るタオル、で知られるタオルブランド、IKEUCHI ORGANIC 代表の池内計司さんの「『ストーリーを売る』への僕の違和感」です*1。

IKEUCHI ORGANICさんはご存じの方も多いかとは思いますが、最大限の安心と最小限の環境負荷、すべての人を感じ、考えながらつくる、エコロジーを考えた精密さをコンセプトに、オーガニックコットンを使用したハイクオリティなタオル製品を販売されています。

記事の中で、池内さんは、最近のマーケティングで言われる、「モノを売るより、ストーリーを売れ」に違和感を感じる、一番大事なのは「モノをしっかりつくること」なはず。その結果がストーリーではないか、と語っています。

最近は、開発者の秘話などをドキュメンタリー仕立てで目にすることも増えました。面白くはあるものの、PR目的っぽいな、と思われるものも少なくありません。過剰なPRや「ストーリー」が商品の良さを曇らせてしまっていることもありそうです。
 

池内さんのメッセージを私なりに解釈すると、「PRする力を持つほどよい商品をつくっていれば、やたらPRしたり、ストーリーを無理してつくりあげずとも自ずと売れるはず」ということではないでしょうか。「よい商品をつくる努力を怠っていないか」そんな戒めも含まれていそうです。


確かに、前述の川端道喜さんは完全予約制ですが、予約待ちが出るほど人気で今なお、綿々とお商売を続けておられます。
IKEUCHI ORGANICさんも同じく、コロナ前には工場見学に自費で!ファンの方が訪れ、コロナ下に開催したオンライン工場見学は、視聴者数が300名を超え、90分間の配信の中で離脱した方はほとんどいなかったそうです*2。宣伝をしなくても商品を選び続けてくれる、ブランドを愛し続けてくれる熱烈なファンがいるなんて羨ましい限りですね。

「いいモノをつくることこそが何よりのPRになる」

これは、モノを活動に言い換えるとNGOにも同じことが言えます。かつてNGOで広報をしていた時、意義ある活動を展開しているとプレスリリースを出さなくても多くの取材を受けました。それだけで忙しかったことも! PRはそれなりに労力コストがかかる仕事ですから、PRをしなくてもよければその分、NGOであれば活動に、企業であれば商品開発などに持てる資源をまわすことができます。その方がさらに活動、商品の価値をあげることができ好循環が生まれるでしょう。


ということで、冒頭の懸念に戻ると、よい商品を販売して(NGOの場合は活動をして)PRせずとも、声を出さずとも、広報の仕事はなくなりません(笑)。それどころか、取材に対応するだけでも大忙しですし、声を出さないなりにやることはたくさんあります。

次回は、「声なくして人を呼ぶ」とサステナビリティの相性について考えてみたいと思います。

梅雨自分、皆様どうぞ気をつけてお過ごしください。

 

*1 『ストーリーを売る』への僕の違和感
*2 
IKEUCHI ORGANICが「オンライン工場見学」を実施、"ファンの気持ちを高める"原点はファンと一緒にブランドを創るという想い

 

 

 

 

2022/05/30

時にはアナログで

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少しずつ暑くなってはきましたが、まだなんとか歩いて気持ちのいい季節が続いています。先日、京都の街中を歩いていたときに見つけたのがこちら(上記写真)。

なになに「エコレシピ?」。気になってみてみると、京極小学校(京都市上京区)のエコレシピチラシグループがつくったもので、食品ロスが少なくなるようなレシピを集めたのだそう。赤シソとお茶殻のおもちなんて、京都らしいなあとついつい見入ってしまいました。

学校の周辺は子どもたちはもちろんですが、学童のお迎えに来る両親も通りますし、近所の方も歩いています。PRというと、最近はつい、SNSだ、Webサイトだ、いや、オンラインセミナーだ......と何かと今風なテクニックに走りがちですが、まずは小学校の関係者や近所の人たちといった身近な人たちを対象に知ってもらう手段として考えると、「建物のフェンスにチラシを掲示する」なんていうアナログな方法も案外有効な広報手段の一つかもしれません。

この小学校は京都御所の近くにあるので、観光客が戻ってくればより多くの人に「京都らしいエコレシピ」を伝えることもできそうです。

QRコードをつけて、「つくレポ(エコレシピを実際につくってみたという写真とお知らせ)」を送ってもらい、双方向なコミュニケーションを経験してみるのも面白そうですね。おっと、またテクニックに走っているかも。

「つくってみました!」というお手紙お待ちしています、でもいいですね!

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